全国設備投資計画調査(大企業) (2009年6月)

DBJが毎年1回実施している、民間法人企業を対象とした設備投資計画調査です。1956年以来50年以上にわたり毎年継続している大企業(資本金10億円以上)の設備投資動向調査となります。

概要

製造業を中心に2年連続の減少
- 能力増強投資抑制のなか、インフラ関連や戦略投資に注力 -
《地域別: 10地域中、東北を除く9地域で減少》

  1. 1.
    大企業(資本金10億円以上)の2009年度設備投資計画は、製造業が1993年度以来の2割減となり、非製造業も微減となることから、全産業では2年連続の減少(9.2%減)となる。
  2. 2.
    製造業(20.7%減)は、国内外の需要急減を受け、能力増強を抑制する自動車や電気機械をはじめ、多くの業種で大幅減となる。非製造業(0.1%減)は、電源開発や送配電設備への投資が続く電力のほか、鉄道での安全対策などや航空での省燃費型航空機の調達が計画されている運輸が増加するものの、抑制傾向が強まる不動産、移動体通信における第三世代携帯電話関連の投資が一巡する通信・情報などが減少し、全体では微減となる。
    投資動機(製造業)をみると、「能力増強」のウエイトが大きく低下するため、他の項目のウエイトが相対的に上昇する。とくに「新製品・製品高度化」「維持・補修」は、ウエイト上昇とともに投資額も増加する。
  3. 3.
    今回の投資内容の特徴をまとめると、以下の3点が挙げられる。
    1. 投資抑制: 電気機械、自動車、不動産など
    2. インフラ関連の投資継続: 電力、運輸、通信・情報
    3. 収益・成長分野への注力、地域の絞り込み: 電気機械や自動車での二次電池、エコカーなど新製品・製品高度化ならびに不動産や小売での都市圏集中投資
      需要急減を背景に製造業を中心に能力増強は延期・凍結など抑制される一方、安全対策やサービスの高度化が求められるインフラ関連が継続するほか、将来に向けて確実に収益が見込める、あるいは成長が期待できる分野・地域への戦略投資に注力している。
  4. 4.
    付帯調査の主な結果は次のとおりとなっている。
    1. 金融危機が実体経済に与える影響をみると、過半数の企業で売上が危機前のピーク水準に戻るのは「2011年度以降」あるいは「戻らない」と回答しているほか、3割強の企業は、今後、経常損益が「下振れ」する可能性があると回答した。中期的な設備投資計画を「減額修正」する企業も過半数にのぼる。
    2. 中長期的に新たに取り組んでいる事業分野としては、「太陽光発電」「エコカー」といった省エネ・温暖化対策関連、福祉関連、情報コンテンツ関連、汚染対策関連、バイオ関連が挙げられている。
    3. 海外における設備投資は、自動車や電気機械などが4割近く減少する。北米が半減し、欧州、アジアも大幅に減少する。
    4. 研究開発費は引き続き減少する。化学が増加するものの、自動車、電気機械などが減少する。
  5. 5.
    大企業・中堅企業(資本金1億円以上)の2009年度地域別設備投資計画は、10地域中、東北を除く9地域で減少し、全国計では2年連続の減少(10.6%減)となる。

報告書

上記報告書は、調査レポ―ト第100号として発表

お問い合わせ

日本政策投資銀行 設備投資計画調査担当
TEL: 03-3244-1845
E-Mail: capex@dbj.jp