日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成11年12月02日
  • 日本政策投資銀行

「環境スタディーツアー(Japan Study Tour on Global
Environmental Program)」開催について
~途上国向け環境スタディーツアーを本邦ではじめて開催~

日本政策投資銀行は、来る12月2日より世界銀行研究所(WBI)、日本の環境庁と共同で「環境スタディーツアー(Japan Study Tour on Global Environmental Program)」を開催する。従来、日本の知的貢献は産業政策、貿易振興政策といった経済成長促進策に重点が置かれてきたが、本件は「持続可能な発展」の実現という観点から日本の環境対策、特に企業レベルの先進事例に焦点を当てる。この様に日本の環境対策を、行政側からだけでなく、企業側の対応を含めて途上国に紹介するのは本邦はじめての試みである。

日本政策投資銀行は、かねてより環境問題への取り組みを持続的に行ってきた。すなわち、1960年に日本の政府系金融機関として初めて公害防止融資制度を創設し、爾来公害防止にとどまらず広く環境全般に配慮した設備投資への優遇支援を実施してきた。また、1994年には「地球温暖化センター」を発足し、環境税が経済に与える影響に関するモデル構築を行うなど、”Knowledge Bank”として環境保全活動への情報提供にも努めてきた。一方、日本国内での政策金融やプロジェクトファイナンスによる経験・ノウハウをもとにした国際協力活動については、1993年に専門部を設置して以降、途上国の中長期金融を担う金融機関を対象に企業審査やプロジェクト分析の研修を行うことを通して産業開発に貢献することを中心に、めざましい勢いで研修・調査活動が増加している。わが国のこうした「国際協力」の分野では、従来はともすれば日本の経験を一方的に伝達しようとする動きが支配的であった。これに対して、日本政策投資銀行では、国際機関との連携などによって、より「対話型」で、より多面的な角度から、日本の経験・ノウハウを議論しようとする方向を目指している。

こうした流れのなかで、1998年に、途上国の環境問題に深く関与する世界銀行との共同事業として、日本がどのように環境対策と経済成長を両立させてきたかの過程を検証し、その経験の途上国への適用可能性について調査、議論をするプロジェクトを立ち上げた。調査と国際ワークショップの実施には、日本の環境庁に加え、個別企業としては新日本製鐵、電源開発、住友林業の協力を全面的に得て行われた。この度、当該3社の環境対策先進事例を調査したレポートを完成し、世銀から近日中に出版される予定である。

この「環境スタディツアー」は、環境問題への取り組みが急がれる東アジアの6ヶ国から12名を日本に招待し、世銀と共同で開発した教材で取り上げた3社の工場等を実際に訪問し、地道に努力を積み重ねてきた現場の経験を紹介するほか、環境庁や地方自治体とNGOなど日本の環境政策上重要な役割を果たしたさまざまなセクターとのディスカッションの機会を設ける。日本の環境保全対策には、国、自治体、企業、市民の4者の情報交換による相互理解がベースにあった。

当セミナーでは、個別 の環境政策の背景にあった、4者の相互理解を可能にした社会メカニズム全体にも焦点を広げ、議論を行う予定である。

参加6ヶ国は、急速な経済発展にともなって、かつて日本が苦しんだと同様に産業公害に悩み、また同時に地球環境問題への対策が急がれている。参加者は、環境行政官庁と、開発銀行など産業開発を担当する二つの異なるセクターから選抜しており、それぞれの国で今後の政策決定に影響力を有する上級管理職が来日する。環境政策の立案者と、その政策を実際に支援するセクター間での対話促進も同時に期待されるところである。

期間: 1999年12月2日~8日(7日間)
場所: 東京(日本政策投資銀行本店)、電源開発磯子発電所、住友の森エコシステム(愛媛県別 子山村)、新日本製鐵八幡製鐵所、北九州市、福岡など
内容: 企業・自治体訪問、講義(日本の環境政策の評価、地方自治体の取り組み、NGOの取り組み、世銀の環境政策等)、ワークショップ「日本の環境政策とアジアへの適用可能性」
対象者: 中国,ベトナム,フィリピン,タイ,マレーシア,インドネシアの環境庁、開発銀行等の上級管理職 計12名
【お問い合わせ先】
日本政策投資銀行総務部 Tel:03(3244)1900
国際協力部 Tel:03(3244)1986