日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成15年9月3日
  • 日本政策投資銀行

我が国初の開発型メザニンファンド"都市再生ファンド"設立
~ 第1号案件 秋葉原ITセンター(仮称)UDXビル ~

  1. 日本政策投資銀行は、このたび、我が国初の開発型メザニンファンドである"都市再生ファンド"を設立し、第1号プロジェクトへ融資を行うことといたしました。
  2. 都市再生ファンドは、日本政策投資銀行と民間金融機関の資金をもとに都市開発プロジェクトに対してメザニンファイナンスを行うファンドであり、政府の最優先政策課題の一つである都市再生の推進と、我が国において今だ未発展のメザニンファイナンスマーケットの創出に資するものであります。第1号プロジェクトは、エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社と鹿島建設株式会社が主導する秋葉原ITセンター(仮称)UDXビルです(フィナンシャルアドバイザー:野村證券株式会社)。
  3. 日本政策投資銀行は、都市再生ファンドとして200億円の投資枠を確保しておりますが、本件を契機として、より多くの民間金融機関がメザニンファイナンス市場に進出し、金融市場の発展につながることが期待されています。日本政策投資銀行では、今後とも、このような金融市場の育成・補完への積極的な取組を通じて、市場のニーズに応えていく所存です。

(資料1)

都市再生ファンドの背景

ファンドのスキーム


(資料2)

メザニンファイナンス

メザニンファイナンスとは、従来より金融機関が取り組んできたシニアファイナンスよりリスクが高い資金です。

シニアファイナンスとは、投資リスクが低い資金であり、日本において発行されている社債、金融機関から供給されている融資の多くがシニアファイナンスに該当します。対して、メザニンファイナンスはリスクが高い資金になりますが、米国等幅広い投資家層を抱えるマーケットにおいては多様な資金供給手段の一つとして重要な役割を果たしており、シニアファイナンスより高く適切な金利水準を確保することによって、金融機関にとって投資が可能となっています。

しかしながら、不動産開発事業は、建設に関するリスク、将来の事業性に関するリスク等が存在するため、我が国では現在、開発型メザニンファイナンスマーケットは存在しておりません。

メザニンファイナンスの導入によって、個々の事業において財務レバレッジの引き上げおよびエクイティ所要額の削減を行うことができることから、事業スポンサーにとっては、投資リターンが改善されるとともに、資金を他のプロジェクトに活用することができます。投資家の投資余力の増大を通じて都市再生のより一層の推進が期待されます。

コンストラクションファイナンス

本件メザニンローンは、建設工事完成から約2年後にローン元本の返済を受けるものであり、開発事業の立ち上がり期間から安定運営期間に移行した時点で、パーマネントローンへの切替もしくは物件売却を行うものです。安定運営期間に移行した不動産は、開発不動産に比べてリスクが低く、REIT(不動産投資信託)などを通じてより広い範囲の投資家が投資しており、今後もかかる不動産流動化市場の発展が期待されています。本件のように優良な不動産を不動産流動化市場に供給することは、個人の資金も含めたより幅広い投資資金の還流を促進することとなり、金融市場及び不動産市場の活性化に資するものです。


(資料3)

秋葉原ITセンター(仮称)UDXビルの概要

◆事業主体 ユーディーエックス特定目的会社
◆事業地点 千代田区外神田1丁目、4丁目
◆建物階数 地上22階・塔屋1階・地下3階
◆延床面積 161,676
◆建物高さ 101m
◆駐車台数 798台
◆主な用途 オフィス・集客機能・都市計画駐車場等
◆事業スケジュール 2002年3月末     東京都との土地の売買契約締結
2003年8月        建設工事着工
2006年3月予定  建設工事竣工

◆ストラクチャー及び関係者

<完成予想図>

「JR秋葉原駅からの外観イメージ。右側ビルが本件プロジェクト。 左側は1街区。」