日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成15年12月24日
  • 日本政策投資銀行

平成16年度投融資計画について

日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、平成16年度予算案(12月24日閣議決定)を受け、以下の通り、平成16年度投融資計画をとりまとめました。

1. 平成16年度投融資計画の特徴

平成16年度投融資計画は、国の経済財政政策の方針及び特殊法人改革の趣旨を踏まえ、民間金融機関と協調しつつ、地域、環境、技術等、真に政策的に必要な分野への資金供給を重点的に確保することを基本スタンスといたしました。

主な特徴は以下の通りです。

(1) 地域・環境・技術に軸足をおいたメリハリのある投融資計画

(大項目)「自立型地域創造」を(大項目)「地域再生支援」に、
  (大項目)「豊かな生活創造」を(大項目)「環境対策・生活基盤」に改称し、
  (大項目)「構造改革・経済活力創造」と並んで、本行が取り組むべき現下の喫緊の政策課題(地域、環境、技術)を明確化(詳細後述)

(2) 適正な投融資規模の確保等

a) 適正な投融資規模の確保
  1. 特殊法人改革の趣旨を踏まえ、民間金融機関と協調しつつ、真に政策的に必要な分野に資金供給を図るとの観点から、投融資規模は平成15年度当初計画同額の11,780億円を確保(平成16年度要求額同額)。
  2. これに伴い、貸付金残高は新銀行設立時より約4.3兆円削減される見込み
    (平成12/3末18.8兆円→平成17/3末見込み14.5兆円)。
b) 財政融資資金からの借入の縮減・財投機関債による自主調達の継続
  1. 財政融資資金からの借入金は、15年度当初計画比▲260億円削減の5,770億円(12年度当初計画比▲約1兆円)とし、依存度を一層引き下げ。
  2. 一方、財投機関債については、15年度に引き続き2,400億円の発行を計画し、自主的な資金調達手段を確保(投融資計画に占める財源比率は20.4%)。

(参考)16年度投融資計画額と近年の当初計画額との比較 (単位:億円)

(3) リスクの高い分野への取組の強化 -ファンド機能の強化-

平成15年12月19日付で地域再生本部決定がなされた、地域経済の活性化や地域の雇用の創造を主要課題とする「地域再生」への取り組みを一層強化することも踏まえ、地域の再生にも資する都市再生ファンド、事業再生・産業再生ファンド、ベンチャーファンド等の各種ファンドを通じたリスクテイク、金融ノウハウの提供機能を強化します。

(4) 民間金融機関との協働および政策金融の利便性の向上に向けた取組の強化

制度体系の大幅な整理や民間金融機関との金利の整合性の確保

100項目以上に及ぶ制度のスクラップや金利の引き上げを行い、民業補完の趣旨の徹底に一層配慮するとともに、制度体系の簡素合理化を実施します。

地域関連制度の見直し

平成15年12月19日付地域再生本部決定「地域再生推進のための基本指針」において、「政策金融においても、本基本指針を踏まえ、地域再生に資するよう現行の地域関連融資制度のあり方の見直しを検討する」との方針が示されたことを踏まえ、地域関連の制度について、17年度要求時に向けて「地域再生支援」(新設)を軸に大幅な制度の整理・統合を検討し、制度体系の簡素・合理化を図ります。

環境関連制度の見直し

環境関連の制度についても、17年度要求時に向けて「環境配慮型経営促進」(新設)を軸に大幅な制度の整理・統合を検討し、制度体系の簡素・合理化を図ります。

2. 三大重点分野への取組の強化

経済財政諮問会議等、政府における重要会議の方針等を踏まえ、地域・環境・技術等、現下の喫緊の政策課題に機敏に対応するため、関連する投融資制度の重点化を図るべく、以下の項目を中心に拡充等を措置いたしました。

(1) 地域再生への貢献

ファンド機能の充実によるリスクの高い分野への取組の強化(再掲)

都市再生、事業再生・産業再生、ベンチャー等、地域の再生にも資するファンドへの出資によるリスクテイク、金融ノウハウの提供を一層促進します。

リレーションシップバンキングを通じた地域中堅企業への支援の強化

地域の産業集積や雇用の面で地域の中心的な役割を果たす中堅企業が、経営の合理化・効率化によって事業の維持・継続を図るために必要な資金(非設備資金を含む)について、地域の金融機関との連携の下、リレーションシップバンキング機能の活用により、協調して支援します。

構造改革特区内における事業への支援

各地域の特性を踏まえて計画され認定を受けた、構造改革特区地域における事業に対し、地域再生という観点から支援をします。

PFIへの積極的な取り組みの継続

融資比率の弾力的対応を延長します。

防災の観点を踏まえたセキュリティ対応資金等への支援の強化

多数の人々の利用する駅・空港などの公共施設等における災害の発生を未然に防止するための必要な資金(非設備資金を含む)への支援を強化します。

密集市街地防災街区整備事業への支援による都市防災性能の向上

(2) 環境問題への積極的な取り組み

環境スコアリングシステムによる環境配慮型企業への支援の強化

環境スコアリングシステムにより環境への先進的な取り組みを行う企業を選定し、その企業の環境対策費用(非設備資金を含む)等の調達を支援することで、企業の環境面の取組を促進する我が国初の制度を創設します。

京都メカニズムに対する支援

京都議定書の発効を見据え、京都メカニズムを活用した温室効果ガス削減のためのファンドによる支援を早期に実施する体制を整備します。

省エネルギーの一層の推進

オフィス、デパート、ホテル等の建築物の設置者が作成する省エネルギー目標を達成するための中期計画の実施に必要な建築物の省エネ事業を対象に追加し、省エネの一層の推進を支援します。

防災に配慮した生活環境の創造

都市治水事業の対象に雨水貯留浸透施設の整備事業を追加し、都市防災性能の向上を支援します。

(3) 技術振興等を通した経済活性化の促進 -産業金融機能の強化-

ベンチャー・中堅企業等の事業展開資金の円滑な供給による新産業の創出・活性化

新たな産業分野の開拓に資する高度な技術力や独自のノウハウを有するものの、近時の金融環境や信用力不足からその事業資金の調達が困難となっているベンチャー企業や中堅企業等に対する資金供給を円滑化することで、次世代を担う新産業を創出し、我が国の経済の活性化を図ります。

知的財産有効活用支援事業

特許権、著作権、コンテンツ等の知的財産の市場化が未発達な我が国において、これらの知的財産を流動化する手法を活用して知的財産の有効活用の促進を図ります。

企業の生むキャッシュフロー等に着目した資金調達の円滑化支援

土地等の不動産担保を中心とした従来の資金供給手法に偏ることなく、売掛金・在庫等不動産以外の多様な資産を担保とする融資や、リスクをコントロールするためのコベナンツ付融資等、企業の生むキャッシュフローをより重視した金融技術への多様化を図ることで、中堅企業等が実施する経済社会的に有用な事業に必要な資金を供給し、企業の資金調達の一層の円滑化を促進します(非設備資金を含む)。

産業再生の促進

産業再生事業に対するファンド出資の対象に、事業再構築計画を通じて事業者自身による早期自力再生を追加することで、高度な技術資源の散逸の防止・有効活用等を図ります。