日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年1月7日
  • 日本政策投資銀行

岩谷産業株式会社に「環境配慮型経営促進事業」制度を適用

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、岩谷産業(株)を選定し、融資を実行しました。卸売業への制度適用として第1号になります。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。
  3. 今回は、グループ環境経営に軸足を移しつつある岩谷産業(株)からの提案を頂き、当社のバリューチェインを構成する主要子会社である岩谷瓦斯 (株)(工業ガス製造)、岩谷物流(株)(物流)と一体的な評価を実施しています。グループとして環境スクリーニングを受けるという新しい取り組みといえます。
  4. 評価対象となった岩谷産業(株)は、敢えてグループ2社を統合する形で今回の評価に取り組んだことにも表れているように、連結を重視する新たな環境経営への移行を標榜しており、今回の評価においても、グループ全体へのコンプライアンスの徹底、販社等を通じた地域への社会貢献などが高く評価されています。

    また、環境に配慮した製品・サービス開発の面で「環境良品」の積極的な拡大に向けた努力を行っていることや、デジタルタコメーターの全車装備など物流面での積極的な環境対策(岩谷物流(株))、ガスのリサイクルとでもいうべき他産業からの排ガスを利用した複製水素製造の拡大(岩谷瓦斯(株))など事業面での具体的な取り組みも高く評価されました。

    当グループの場合、来るべき水素社会においても中核的な存在となるべく不断の製品開発や設備投資を進めるなど、将来的な環境経営の推進にも大いに期待が持てます。

  5. 当行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで100社余りの評価作業に着手しており、既に30社程度の評価を完了、うち18件(本件を含む)の融資(保証)を実行しています。業種構成の広がりに加え、今回連結環境経営の時代を見据えた仕組みを導入したことにより評価の視点も広がり、今後更なる活用が期待されます。今後も、多様な業種特性を踏まえて、適切な環境配慮型経営の評価に努めて参ります。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
  4. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常項目が103、加点項目が24の構成です。このうち、加点項目は際立って優れた企業を念頭に設定された設問です。このように、企業の取組みを包括的に評価できることが可能になっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
  3. この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。
  4. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評 価 得   点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利Ⅲ
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利Ⅱ
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(110~139点)
政策金利Ⅰ
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(110点未満)
対象外

注) (  )内は中堅企業等

以上