日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年2月14日
  • 日本政策投資銀行

「環境配慮型経営促進事業」制度を活用した
私募債発行支援(エコ・スピリッツ)について

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、ビニフレーム工業株式会社(本社:魚津市)を選定し、同社の発行する私募債に対して100%の保証を付与致しました。環境配慮型経営促進事業を活用して私募債発行支援を行うことは全国で二例目です。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、日本政策投資銀行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利(保証料)を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資・保証制度です。本件のように、地域の非上場会社等の幅広い企業の取組みも適切に評価できることは、本制度の大きな特徴の一つです。
  3. リレーションシップバンキング機能強化の一環として、平成16年2月に日本政策投資銀行と株式会社福井銀行は業務協力協定を締結しておりますが、今回はビニフレーム工業株式会社との取引関係の深い福井銀行が財務代理人を務め、また福井銀行は私募の取扱い者として、適格機関投資家に販売致しました。
  4. ビニフレーム工業株式会社は、昭和37年創業の合成樹脂・アルミ建材メーカーです。当社は、「設計段階から環境に配慮した製品作り」を環境方針として掲げている通り、独自の「環境配慮型設計ガイドライン」に基づき、設計段階から素材、部品及び構造の多方面に亘り定性評価したうえで、製品開発に取り組んでいます。特に、16年2月の本社工場におけるISO14001認証取得に伴い、社長をトップとする環境マネジメントシステム(EMS)が強化されたことで、当ガイドラインに基づく環境配慮製品設計体制が推進された結果、産業廃棄物最終処分量の大幅削減を達成した点が高く評価されました。ビニフレーム工業は、今回調達した資金を、環境対策工事の他、環境配慮型製品の研究開発資金に充当することとしています。
  5. 今回は、将来の改善を誓約することに対する特別加点(エンゲージメント)が適用されております。ビニフレーム工業株式会社は、産業廃棄物の最終処分量の削減について、日本政策投資銀行に対して意欲的な誓約を提出しており、本制度の利用を機に今後一層の環境対策の進展が期待されます。
  6. 日本政策投資銀行では、大手から中堅クラスに至るまで120社余りの評価作業に着手しており、既に35社程度の評価を完了、うち21件(本件を含む)の融資(保証)を実行しています。業種構成は製造業・小売業・リース業等一層の広がりを見せており、今後更なる活用が期待されます。今後も本件のような私募債保証を活用して地域の金融機関とも連携・協力しながら、企業の環境配慮型経営や産業基盤整備を支援することにより、環境保全に貢献して参りたいと考えております。

【概要】

日本政策投資銀行(北陸支店)は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、ビニフレーム工業株式会社(本社:魚津市)を選定し、同社の発行する私募債に対して100%の保証を付与した。環境配慮型経営促進事業を活用して私募債発行支援を行う全国二例目の事例(富山県初)。リレーションシップバンキング機能強化の一環として、平成16年2月に日本政策投資銀行と株式会社福井銀行は業務協力協定を締結しているが、今回はビニフレーム工業株式会社との取引関係の深い福井銀行が財務代理人を務め、また私募の取扱い者として複数の適格機関投資家に販売した。日本政策投資銀行は、本制度について、従来の協調融資に加え、今後は本件のような私募債保証を活用することで地域の金融機関とも連携・協力しながら、企業の環境に配慮した取組みを支援することにより環境保全を図るとともに、環境配慮型の産業基盤整備を目指したいと考えている。

【ポイント】

  • 日本政策投資銀行が今年度に新規創設した「環境配慮型経営促進事業」制度に基づく、富山県では初、全国でも2例目の私募債保証。(社債に100%保証を付与するスキームは北陸地域のみでしか具体化していない)
  • 日本政策投資銀行は、福井銀行との間で、平成16年2月に業務協力協定を締結し、地域連携を深めてきたところ。協定締結前から協調融資等の実績を重ねて来たが、全国に先駆け私募債を活用した連携は昨年8月より開始したもの。
  • 環境配慮型経営を行っている企業であれば、あらゆる地域、様々な規模の事業・業種に対応でき、また私募債を活用することで地域の金融機関が参画しやすくなっていることから、リレーションシップバンキング機能強化の観点からも、全国への汎用性が高いスキームであり、東北・関西・中国・四国の各地域でも同様の取り組みが検討されている。

【環境配慮型経営促進事業とは】

  • 環境配慮型経営促進事業は、本行が開発したスクリーニングシステム。
  • 首都圏/地域、上場/非上場、製造業/非製造業等の幅広い企業の取組みに対しても適切に評価できることは、本制度の大きな特徴の一つ。
  • 本行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで120社余りの評価作業に着手しており、既に35社程度の評価を完了、うち21件(本件を含む)の融資(保証)を実行している。業種構成についても、製造業、小売業、リース業等一層の広がりを見せており、今後とも本件のような私募債保証をも活用して、地域の金融機関とも連携・協力しながら、全国展開を進めたいと考えている。

【ビニフレーム工業株式会社について】

  • ビニフレーム工業株式会社は、昭和37年創業の建材メーカーであり、樹脂とアルミ建材を組み合わせた複合建材や、合成樹脂製品などの製造販売を行っている。
  • 競争の激しい建材業界において、品質管理や環境側面への取り組みを重視し、平成11年にはISO 9001認証、平成16年2月には魚津市本社工場においてISO14001認証をそれぞれ取得し、本年3月にISO14001認証の対象範囲を全国の営業所を含めた全社へと拡大すべく準備を進めている。
  • 自社新製品の開発・改良にあたっては、独自の環境基準を設け、この基準をクリアしたもののみが製品化される体制を構築している他、アルミ建材業界大手と共同研究を行うなど、最先端の技術を以って環境配慮型アルミ複合建材の開発を推進している(製品例下図参照)。
  • 今般、ISO14001認証を取得して間もないにも関わらず、経営・事業・パフォーマンス(定量管理)の全てにおいて広範な取り組みを行っている点が評価された。特に生産性と環境配慮性を両立させるため、資源の有効利用を進めるべく行われている廃棄物量の削減については、今般スクリーニングにおいて「エンゲージメント」として誓約されているなど、積極的な取り組みが行われている。

※木樹脂製品の例

以上