- News Release
- 平成17年2月28日
地場複数中小企業の共同事業に対する
支援スキーム(Suwa一の柱ファンド)を構築
~(株)八十二銀行、諏訪信用金庫、日本政策投資銀行が連携~
- (株)八十二銀行、諏訪信用金庫および日本政策投資銀行は、複数の中小企業が互いの技術を持ち寄りながら新製品を開発・事業化する主体的な取り組みを支援するため、(株)しんきん信託銀行の協力により、円滑な資金供給を目的とした独自のスキーム(Suwa一の柱ファンド)を構築いたしました。
支援対象となるのは、地場企業が出資したベンチャー企業の(株)S・I・V及び主要株主として同社事業遂行を支える(有)中村製作所、(株)ヤマト、 (株)長野サンコー、共友電材工業(有)及び(有)黒栄工業(以下「中核5社」といいます。各社概要は下記を参照)の5社グループです。
- 今般のスキームによるファイナンスは、(株)S・I・Vが、同社製品のラインナップ強化に必要となる金型投資やOEM生産拡大に伴う運転資金及び既存技術を応用した医療機器の開発資金を提供するものです。
- 今回のスキーム構築に際しては、長野県及び(財)長野県中小企業振興公社の「草の根創業支援制度」の第一号案件として支援の対象となり、同公社と中核5社及び(株)S・I・Vが共同でファンド(信託)を組成し、このファンドに対し、(株)八十二銀行、諏訪信用金庫及び日本政策投資銀行の3行が協調融資を行うことにより原資を確保するものです。当該ファンドの運営管理は(株)しんきん信託銀行が受託します。
(株)S・I・Vは必要資金を増資によって調達しますが、増資の引き受け手である中核5社は、事業の完遂に向け連携して本事業を支え続けていくという意志を明確にすべく相互連帯保証※等を行い、ファンド(信託勘定)から融資を受けることにより資金を調達します(スキーム図は下記を参照)。これにより、複数の中小企業の連携による共同研究開発事業に対し、関係者のリスク分担の明確化を図りつつ所要資金の円滑な供給を行うことが可能となります。
(※)相互連帯保証:本件では信託に優先劣後構造を導入したスキームの特徴を踏まえ一定の極度額まで相互に保証しあう仕組みを導入。
- こうした金融・産業両面からのプラットフォーム整備の結果、地場中小企業単体では困難な新製品の開発、新規市場の開拓が可能となり、地場企業の自立的な経営基盤強化及び新規雇用の創出等を通じ地域経済の自立的な発展が促進されることが期待されます。
- (株)八十二銀行、諏訪信用金庫および日本政策投資銀行は、今後とも、リレーションシップバンキングへの取り組みを強化するとともに、本件ストラクチャーの活用により、地場中小企業の共同事業の取り組みを支援し、地域金融機能の高度化・新事業の創出に寄与していく所存です。また、日本政策投資銀行は、全国においても地域金融機関と連携し、地場中小企業の共同事業支援に努めて参りたいと考えております。
以上
【(株)S・I・V及び中核5社概要】
(1) (株)S・I・V
電気機械、精密機械産業などが集積する諏訪地域において、精密部品加工業等を主業とする地場中堅中小企業14社により平成15年8月に設立された共同事業会社。生産ラインのセル化(注1)、省エネ・省スペース等に対する生産現場のニーズに応じ汎用品のない小型・低騒音・低価格の小型コンプレッサー(注2)などの開発・販売を行う。
- (注1) セル化:
- セル生産とは製造ラインにおいて、1人ないし数人の作業者がひとつの製品を作り上げる自己完結性の高い生産方式で、変種変量生産に柔軟に対応可能
- 注2) 小型コンプレッサー:
- 圧縮した空気を送り出すことで工作機械を動かす。可動式で、コンプレッサーの周囲から空気を直接吸引するため工場内の配管が不要となり省エネ、省スペースを実現。
- ①本社所在地:長野県諏訪郡下諏訪町4611番地77
- ②設立年月:平成15年8月
- ③代表者:中村 博洋((有)中村製作所代表取締役社長)
- ④資本金:24,500千円
- ⑤従業員:6名
- ⑥主 業:精密機械器具製造業