日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年3月29日
  • 日本政策投資銀行

中越パルプ工業株式会社に、「環境配慮型経営促進事業」融資制度を適用

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、中越パルプ工業(株)を選定し、融資を実行しました。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。
  3. 今回の評価対象となった中越パルプ工業(株)は、富山県等に工場を有する総合製紙メーカーです(本社:東京都)。

    当社は、資源・エネルギー消費等の環境負荷が相対的に大きい製紙業の中で、製造工程内における「7つのリサイクル」を推進し、IN(投入)とOUT(排出)を小さくすることで環境負荷低減に取り組んでいる点に特徴があります。

    特に、省エネルギー設備や新技術の導入、日常のエネルギー管理強化、黒液エネルギー転換効率向上に努める等、地球温暖化抑制に向けた各種の取り組みは特筆に値するものです。また、新ボイラー設置やECF化推進等の設備投資を計画する際、経済・環境の両側面から詳細に検討している点も同社の特徴です。

  4. 製紙業は、原材料である木材の確保という点で持続可能な森林管理のあり方に大きな影響を与えるとともに、古紙リサイクルという重要な資源循環機能を担っています。製紙業界における環境配慮型経営の進展は、温暖化対策、循環型社会の形成、水資源対策など多くの側面でわが国の環境対策のレベルアップにつながるため、当行としても積極的に支援して参る所存です。
  5. 日本政策投資銀行では、大手から中堅クラスに至るまで120社余りの評価作業に着手しており、既に40社程度の評価を完了、うち26件(本件を含む)の融資(保証)を実行しています。業種構成も、本件に代表される素材型の製造業を始め、小売業やリース業など非製造業へも一層の広がりが出てきており、地域に事業基盤をおく企業への適用事例も増加しています。当行は今後とも、様々な企業の環境に配慮した取組を支援して参ります。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
  4. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常項目が103、加点項目が24の構成です。このうち、加点項目は際立って優れた企業を念頭に設定された設問です。このように、企業の取組みを包括的に評価できることが可能になっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
  3. この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。
  4. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評価 得点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利 III
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利 II
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(110~139点)
政策金利 I
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(110点未満)
対象外

注) (  )内は中堅企業等

以上