日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年3月31日
  • 日本政策投資銀行

住友大阪セメント株式会社に対し、
セメント業界で初めての「環境配慮型経営促進事業」融資を実行

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、住友大阪セメント株式会社を選定し、融資を実行しました。本件は、セメント業界への制度適用第1号です。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。
  3. 今回の評価対象となった住友大阪セメント株式会社グループは、主業のセメント事業の他、光電子や新材料といった新規事業も手掛ける斯業大手です。

    当社の環境経営は、セメント事業が廃棄物処理・リサイクルビジネスの性格を強めるのと軌を一に展開されています。特に、海上輸送の積極活用といった物流面での環境負荷低減に向けた取り組み、および廃棄物等による原料代替の進展と並行して、廃油やバイオマス起源廃棄物(木くず)の燃料代替を積極的に進めている点は、特筆に値するものと、当行では評価しています。

  4. セメント産業の廃棄物処理・リサイクルビジネスは、二次廃棄物を発生させない特徴から、我が国の循環型社会に大きく寄与しています。当行としては、このような環境配慮型経営の進展を積極的に支援して参る所存です。
  5. 日本政策投資銀行では、大手から中堅クラスに至るまで120社余りの評価作業に着手しており、既に40社程度の評価を完了、うち28件(本件を含む)の融資(保証)を実行しています。業種構成も、本件に代表される素材型の製造業を始め、小売業やリース業など非製造業へも一層の広がりが出てきており、地域に事業基盤をおく企業への適用事例も増加しています。当行は今後とも、様々な企業の環境に配慮した取組を支援して参ります。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
  4. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常項目が103、加点項目が24の構成です。このうち、加点項目は際立って優れた企業を念頭に設定された設問です。このように、企業の取組みを包括的に評価できることが可能になっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
  3. この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。
  4. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評価 得点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利 III
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利 II
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(110~139点)
政策金利 I
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(110点未満)
対象外

注) ( )内は中堅企業等

以上