日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成16年6月17日
  • 日本政策投資銀行

地域中堅企業2社に「環境配慮型経営促進事業」制度を適用

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、(株)タカギセイコー(本社:高岡市)、日本インシュレーション株式会社(本社:大阪市)の地域中堅企業2社を選定し、融資を実行しました。地域中堅企業を対象とする初の事例です。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。本件のように非上場の中堅企業等の取組みも適切に評価できることは、本制度の大きな特徴の一つです。
  3. (株)タカギセイコーは、昭和15年設立の工業用部品主体のプラスチック成形加工メーカーです。ユーザーである自動車や電気機械メーカーのニーズを先取りする形で製品開発面で積極的な環境対応を進めているほか、サプライチェーン全体に亘って環境対策を積極的に推進している点が高く評価されました。

    日本インシュレーション(株)は、大正3年設立の耐火被覆材を主力とする建材メーカーです。環境にやさしい耐火被覆材の開発・普及に努めるかたわら、端材・廃材の回収リサイクルシステムの構築、循環利用など水資源対策の推進など、高度な環境対策を進めている点が高く評価されました。

  4. 今回、両社とも中堅企業等に認められる将来の改善を誓約することに対する特別加点(エンゲージメント)が適用されています。(株)タカギセイコーは廃棄物埋立量の削減について、日本インシュレーション(株)は工場廃水の削減について、それぞれ当行に対して意欲的な誓約を提出しており、本制度の利用を機に今後一層の環境対策の進展が期待されます。
  5. 当行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで80社余りの評価作業に着手しています。業種構成としては、素材型を中心に製造業が過半を占めていますが、小売業、建設業、運輸業など多岐に亘っています。また、本件に代表されるように、中堅企業からの依頼も増加しつつあります。今後も、地域の企業が環境配慮型経営を進められるよう支援して参ります。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
  4. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常項目が103、加点項目が24の構成です。このうち、加点項目は際立って優れた企業を念頭に設定された設問です。このように、企業の取組みを包括的に評価できることが可能になっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
  3. この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。 。
  4. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます
評 価 得   点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利Ⅲ
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利Ⅱ
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(110~139点)
政策金利Ⅰ
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(110点未満)
対象外

注) (  )内は中堅企業等

以上