日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成16年8月24日
  • 日本政策投資銀行

地域の中核小売業2社に「環境配慮型経営促進事業」制度を適用

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、株式会社原信(本社:新潟県長岡市)、生活協同組合コープこうべ(本社:兵庫県神戸市)の小売業2社を選定し、融資を実行しました(実行日:(株)原信8/20、コープこうべ8/23)。小売業を対象とする初の事例です。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。本制度の特徴として、業種による環境対策の相違を反映してスクリーニングシートのヴァリエーション展開を図っている点があります。現在、製造業で2種類、非製造業で10種類のヴァリエーションが用意されていますが、本件では非製造業向けとして初めて「小売業向け」ヴァージョンが使用されました。
  3. 株式会社原信は、幅広いステークホルダーを対象に効果的な環境コミュニケーションを推進している姿勢、サプライチェーン全般に亘る積極的な環境対策、とりわけ、当社から排出された青果廃棄物を農協が堆肥化し、これを用いて生産された青果物を再び当社が販売するという地域循環型農業の実践が高く評価されました。

    生活協同組合コープこうべは、生協という組織形態を活かし、環境意識の高い組合員の活動と連携しつつ、本業と不可分一体なものとして環境対策を進めています。特に、「フードプラン」に代表される環境や安全に配慮した製品・サービス開発、包装材の削減や共同購入配送時の環境負荷低減など広範に亘るサプライチェーンでの環境配慮、食品工場や店舗から排出される廃棄物の再資源化に係る高度な取組みが高く評価されました。

    いずれも地域の中核的な小売事業者として、生活に密着したレベルで環境対策を着実に進めている好例といえます。

  4. 当行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで90社余りの評価作業に着手しており、既に15社程度の評価を完了、うち6件(本件を含む)の融資を実行しています。業種構成では、製造業が過半を占めていますが、今回の小売業を始め、建設業、運輸業など非製造業でも広がりが出てきています。今後も、多様な業種特性を踏まえて、適切な環境配慮型経営の評価に努めて参ります。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
  4. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常項目が103、加点項目が24の構成です。このうち、加点項目は際立って優れた企業を念頭に設定された設問です。このように、企業の取組みを包括的に評価できることが可能になっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
  3. この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。
  4. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評 価 得   点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利Ⅲ
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利Ⅱ
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(110~139点)
政策金利Ⅰ
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(110点未満)
対象外

注) (  )内は中堅企業等

以上