日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成16年8月30日
  • 日本政策投資銀行

「環境配慮型経営促進事業」制度を活用した私募債発行支援について

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、清川メッキ工業株式会社(本社:福井市)を選定し、同社の発行する私募債に対して100%の保証を付与致しました。環境配慮型経営促進事業を活用して私募債発行支援を行う全国初の事例です。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、日本政策投資銀行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利(保証料)を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資・保証制度です。本件のように、地域の非上場会社等の幅広い企業の取組みも適切に評価できることは、本制度の大きな特徴の一つです。
  3. リレーションシップバンキング機能強化の一環として、平成16年2月に日本政策投資銀行と株式会社福井銀行は業務協力協定を締結しておりますが、今回は清川メッキ工業株式会社のメインバンクである福井銀行が財務代理人を務め、また福井銀行は私募の取扱い者として、福井県を中心とする北陸地域の適格機関投資家に販売致しました。
  4. 清川メッキ工業株式会社は、昭和38年創業の特殊メッキメーカーです。高度な環境対策が求められるメッキ業界にあって、他に先駆けて ISO14001認証を取得し、企業規模に合わせた独自の経営モデル(キヨカワマネジメントシステム)にまで発展させるなど先導的な役割を果たしている他、高い生産性と製品歩留まりの追求を環境対策に直結させるなど、経営課題と軌を一に展開しており、エネルギー投入や廃棄物管理、化学物質管理などの面で、十分な環境効率性を示している点が高く評価されました。

    清川メッキ工業は、今回調達した資金を、メッキ液リサイクル装置や環境配慮型技術開発実験装置の他、予定している無廃水設備にも充当することとしています。

  5. 日本政策投資銀行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで90社余りの評価作業に着手しており、業種構成も、製造業、小売業、リース業等一層の広がりが出てきています。既に15社程度の評価を完了、うち7件の融資・保証(本件を含む)を実行していますが、今後は本件のような私募債保証を活用して地域の金融機関とも連携・協力しながら、適切な環境配慮型経営の評価に努めて参ります。

《補 足 資 料》

【概要】

日本政策投資銀行(北陸支店)は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、清川メッキ工業株式会社(本社:福井市)を選定し、同社の発行する私募債に対して100%の保証を付与した。環境配慮型経営促進事業を活用して私募債発行支援を行う全国初の事例。

リレーションシップバンキング機能強化の一環として、平成16年2月に日本政策投資銀行と株式会社福井銀行は業務協力協定を締結しているが、今回は清川メッキ工業株式会社のメインバンクである福井銀行が財務代理人を務め、また私募の取扱い者として適格機関投資家に販売した。

日本政策投資銀行は、本制度について、従来の協調融資に加え、今後は本件のような私募債保証を活用することで地域の金融機関とも連携・協力しながら、企業の環境に配慮した取組みを支援することにより環境保全を図るともに、環境配慮型の産業基盤整備を目指したいと考えている。

【ポイント】

  • 日本政策投資銀行が今年度に新規創設した「環境配慮型経営促進事業」制度に基づく、全国で初めての私募債保証。(社債に100%保証を付与するスキームは北陸地域のみでしか具体化していない)
  • 日本政策投資銀行は、福井銀行との間で、平成16年2月に業務協力協定を締結し、地域連携を深めてきたところ。協定締結前から福井県内の企業に対し協調融資を実施する等の実績を重ねて来たが、私募債を活用した連携としては初めての事例。
  • 環境配慮型経営を行っている企業であれば、あらゆる地域、様々な規模の事業・業種に対応でき、また私募債を活用することで地域の金融機関が参画しやすくなっていることから、リレーションシップバンキング機能強化の観点からも、全国への汎用性が高いスキームである。

【環境配慮型経営促進事業とは】

  • 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム。
  • 首都圏/地域、上場/非上場、製造業/非製造業等の幅広い企業の取組みに対しても適切に評価できることは、本制度の大きな特徴の一つ。
  • 本行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで90社余りの評価作業に着手しており、既に15社程度の評価を完了、うち7件の融資・保証(本件を含む)を実行している。業種構成についても、製造業、小売業、リース業等一層の広がりが出てきているが、今後は本件のような私募債保証をも活用して、地域の金融機関とも連携・協力しながら、全国展開を進めたいと考えている。

【清川メッキ工業株式会社について】

  • 清川メッキ工業株式会社は、昭和38年創業の特殊メッキ※メーカーで、電子部品、自動車部品、工作機械、土木建築資材等様々な分野へのメッキ処理を行っている。
  • 昭和57年には業界初の技術研究所を設立し技術の高度化に努め、様々な官公庁等による技術開発事業所等の認定を受けている他、「メッキ技能コンクール」では数々の賞を受賞している。また、都市エリア産学連携促進事業として、地元大手企業及び地元大学と共に「ナノメッキ技術によるエネルギー関連機能性材料創製技術の開発」に中心的な企業として参加している。
  • 早期より品質管理・環境に力点を置いており、平成6年にISO9001を取得。平成9年には業界初となるISO14001を取得し、平成15年には日本環境経営大賞の優秀賞を受賞している。
  • 高度な環境対策が求められるメッキ業界にあって、企業規模に合わせた独自の経営モデル(キヨカワマネジメントシステム)にまで発展させるなど先導的な役割を果たしている他、高い生産性と製品歩留まりの追求を環境対策に直結させるなど、経営課題と軌を一に展開しており、エネルギー投入や廃棄物管理、化学物質管理などの面で、十分な環境効率性を示している点が高く評価できる。

※特殊メッキの例

  1. 粉末メッキ: 微粒子(0.7μm)へのメッキが可能。防食効果の増大、均一膜厚形成が可能となる。電子部品の特殊素材等に活用される。

  2. 超撥水電気メッキ: 特殊表面加工によって、航空機/船舶の表面・プリンターノズル(撥水性)、樹脂製品の金型(離型性)、携帯電話部品等(摺動性)に活用される。

  3. 電鋳技術: ナノ単位での立体構造体の製造が可能。

以上