日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成16年9月21日
  • 日本政策投資銀行

リース事業者2社(NECリース株式会社及びダイヤモンドリース株式会社)
に「環境配慮型経営促進事業」制度を適用

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、NECリース(株)(本社:東京都)、ダイヤモンドリース(株)(本社:東京都)のリース事業者2社を選定し、融資を実行しました。リース事業者を対象とする初の事例です。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。
  3. 民間設備投資の約1割を占めるリース取引の位置付けを踏まえると、リース会社における環境配慮への取り組み、とりわけ環境に配慮した製品のリースを活用した普及促進、リース会社による高度なリユース・リサイクルシステムの構築等は、極めて重要であり、今回は、こうした側面について先進的に取り組む2社を選定し、融資を実行したものです。
  4. また、今回のリース会社の環境格付けに当たっては、リース会社の事業の特性を踏まえ、リース取引のプロセス全般にわたる環境配慮への取り組みを評価項目に加えるなど、業種特性に配慮したスクリーニングを行った点でもユニークな取り組みといえます。
  5. NECリース(株)(加藤奉之社長)は、昭和53年に設立された日本電気(株)系のリース会社です。当社では、独自の選定基準に基づき推奨する環境配慮型物件のリースを積極的に展開するほか、日本電気(株)グループの総合力を活かして、リース満了品の全国的な3R(Reduce、Reuse、Recycle)体制をいちはやく構築するなど、メーカー系リースの強みを前面に打ち出した環境対策に対する積極的な取り組みが高く評価されました。

    ダイヤモンドリース(株)(平井康之社長(リース事業協会会長))は、昭和46年設立の総合リース事業者です。当社は、多岐に亘るリース対象物件の中から環境対策に資する財を区分し、環境政策の動向と歩調を合わせてその普及促進を図ろうとしている取り組みや、不法投棄回避・適正処理推進の観点からリース満了品について厳格なプロセス管理を確立している点などが高く評価されました。

    メーカー系リース、総合リースという性格の相違はありますが、いずれも今後のリース事業全体における環境配慮型経営の進むべき方向を明確に示している好例といえます。

  6. 当行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで90社余りの評価作業に着手しており、既に15社程度の評価を完了、うち10件(本件を含む)の融資(保証)を実行しています。業種構成も、今回のリース業への展開にみられるように一層の広がりが出てきています。今後も、多様な業種特性を踏まえて、適切な環境配慮型経営の評価に努めて参ります。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
  4. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常項目が103、加点項目が24の構成です。このうち、加点項目は際立って優れた企業を念頭に設定された設問です。このように、企業の取組みを包括的に評価できることが可能になっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
  3. この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。
  4. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評 価 得   点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利Ⅲ
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利Ⅱ
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(110~139点)
政策金利Ⅰ
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(110点未満)
対象外

注) (  )内は中堅企業等

以上