日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成16年11月1日
  • 日本政策投資銀行

電子産業、ハイテク産業における新産業創造を目的とする
日本初の本格的な「カーブアウトファンド」の創設について

三菱商事株式会社(社長:小島順彦)と日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、電子産業、ハイテク産業の競争力強化を後押しする日本初のカーブアウト専用ファンドの創設に合意し、そのための運営会社「株式会社テクノロジー・アライアンス・インベストメント」を共同で設立しました。

本ファンドは、戦略的に企業から事業等を切り出して(Carve Out)、第三者の評価、投資参画により成長加速化を図る手法であるカーブアウトに着目した日本初の本格的なファンドです。三菱商事、政策投資銀行がそれぞれ40億円を出資する他、機関投資家、カーブアウト元企業となるメーカーからの出資を得て、年内に設立し、最終的に総額150億円程度の規模とする計画です。投資対象としては、電子産業、ハイテク産業における有望なカーブアウト案件を中心に、今後5年間で15件程度の案件に対して1件当たり5億円から 30億円を目安に分散投資を行う予定です。

本ファンドを運営するため新設されたテクノロジー・アライアンス・インベストメントには、代表取締役社長として三菱商事出身でエレクトロニクス・IT関連の新事業立ち上げや事業投資で豊富な経験を持つ吉澤正充が就任しました。ファンドの運営と投資先の育成には、三菱商事の持つ幅広いネットワークや政策投資銀行の持つ投融資を通じて培ってきた事業化支援ノウハウを活用していく予定です。

切り出された技術や事業部門を、一企業として独立させ、世界のメジャープレーヤーに育て上げるためには、技術の開発に加えて様々な機能が必要となります。本ファンドでは、経営専門家派遣、デファクトや差別化を可能とする戦略立案、人材リクルート、インセンティブ付与、マーケティングや販売の実施等、投資先と一体となったビジネスプロデュースを行います。これら育成にあたって、電子産業分野での技術をベースとした事業化支援、コンサルティングを行う株式会社テクノロジー・アライアンス・グループと連携する等、様々な外部資源を活用して投資先の企業価値等の向上を目指します。

本ファンドを通じて、日本の強みである電子産業、ハイテク産業が有する優良技術、人材を活用し、経済財政諮問会議の「骨太方針2004」の主要政策でもある新産業創造にも貢献していきます。


◆参考資料

<カーブアウトとは>

カーブアウトとは、戦略的に企業から事業等を切り出して(Carve Out)、第三者の評価、投資参画によりその成長を加速化させることを狙った、大企業ベンチャーの一形態であり、カーブアウト元企業から一定の出資等の支援・連携を受けつつ切り出す点が特長となります。日本では多くの優秀な技術、人材が大企業等に存在していますが、カーブアウトはこの技術、人材を活用して事業化を行うのに最も適した方法と考えられます。
日本では、すでに多くのベンチャーキャピタルが設立され、ベンチャー支援がなされておりますが、世界でもトップクラスの技術を持つ会社を作り、日本を支える新産業創造を成し遂げるには、大企業・中堅企業にある有望な新技術・エンジニアを切り離し、外部の経営資源を最大限活用するような「カーブアウトベンチャー」の育成が必須と考えております。また、日本の電機、機械、IT分野では、複数の企業から事業を切り離して一緒にすると、技術的に揺るぎない地位を世界で獲得することが出来る事業が数多くあります。本ファンドでは、こうした事業の切り離しとアライアンスを積極的に仕掛けることでデファクトスタンダートとなる技術を確立し、世界のメジャープレーヤーに育て上げることによって、日本の国際競争力復活を目指します。

<新会社・テクノロジー・アライアンス・インベストメント概要>

社名:株式会社テクノロジー・アライアンス・インベストメント
(英文表記):Technology Alliance Investment, Ltd.
所在地:東京都港区赤坂二丁目17-22 赤坂ツインタワー東館11階
設立年月日:2004年10月5日
資本金:3億円
株主:三菱商事(50%)、日本政策投資銀行(50%)
主たる事業内容:投資事業組合財産の運営
従業員数:約10名(2004 年度末予定)
役員構成:
取締役会長    小門 裕幸
代表取締役社長 吉澤 正充
取締役       小林 永芳
取締役       木嶋 豊
監査役       川島 一矩
監査役       川渕 正光
詳しくはホームページをご覧下さい。 http://www.tai.jp/

<三菱商事概要>

三菱商事は中期経営計画「INNOVATION2007」で、「新・産業イノベーター」というビジョンを掲げ、市場ニーズから産業を据え直して新しい仕組みを提案・創出し、次世代を担う新産業の創生を支援することで、産業界の発展に寄与し、顧客と共に成長のシナリオを構築することを目指しています。

<日本政策投資銀行概要>

政策投資銀行は、総合政策金融機関として、「地域」、「環境」とともに「技術」を重要な政策課題ととらえ、技術の事業化や今後の日本を支える新産業の創出に努めております。

<株式会社テクノロジー・アライアンス・グループ概要>

所在地:東京都港区赤坂二丁目17-22 赤坂ツインタワー東館17 階
設立:2003年2月17日
資本金:3億円
株主:三菱商事株式会社(100%)
代表取締役社長:小林 永芳
事業内容:電子産業における事業開発
(投資、投資顧問、コンサルティング、マーケティング支援等)
従業員数:約20名(2004年度)
詳しくはホームページをご覧下さい。 http://www.tech-alliancegroup.com/

<ストラクチャー図>