日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成16年11月16日
  • 日本政策投資銀行

日本政策投資銀行は、中国国産小型ジェット機に搭載される、
(財)日本航空機エンジン協会によるエンジンの技術開発に対し、
新技術開発促進制度による融資を実施
~中国西部大開発地区でのフライトに最適な、技術開発のブレークスルーを目指す

  1. 日本政策投資銀行は、中国国産リージョナルジェット機(※1)ARJ21(Advanced Regional Jet 21st century)独占搭載用エンジンの日米共同開発事業における、日本側開発主体たる(財)日本航空機エンジン協会(JAEC)の開発資金(約100億円)に対し、総額約50億円の融資を決定しました。このエンジンの開発は、JAECのもと石川島播磨重工業(IHI)と川崎重工業(KHI)が参画して行われるものです。
  2. ARJ21は、中国の中航商用飛機有限公司(英文名ACAC:AVIC Ⅰ Commercial Aircraft Co.,Ltd.)が、 2008年開催予定の北京五輪までの就航を目標に開発を進めている小型機で、座席数は70~100席を想定しています。主要路線は西部大開発が進む中国西部地区と、ビジネスインフラ整備が進む沿岸部とを結ぶ国内であり、西部という高原地帯(低気圧)に適した航空機の開発が必要とされます。具体的には、軽量化とエンジンの高効率化であり、特にエンジン開発に対して求められる技術水準は極めて高いものがあります。
  3. ARJ21に独占的に搭載されるジェットエンジン「CF34-10A型」は、米国GE社が主体となって開発・販売するエンジンで、既に就航実績のあるCF34ファミリーエンジンの一つとなります。日本側はこのCF34ファミリーの内、CF34-8C/8C5/8E型及びCF34-10E型開発事業にすでにRSP(※2)として参画しており、エンジンの設計・開発・テスト・製造をGE社と共同で実施(日本側分担割合30%)しておりますが、今回CF34-10A型にも参画を決定しています。
  4. 各社の担当部位は、IHIはシャフトを含む低圧タービンや高圧コンプレッサの一部、KHIはギアボックスであり、いずれもエンジンの主要部位です。航空機産業は技術集約型産業の頂点と言われますが、特にジェットエンジン開発は高度な空力力学を踏まえてタービン・コンプレッサ翼の複雑成型を行いつつ、更に最適な機体性能をも実現させるなどの複合的な技術が必要となります。10A型では、更に低気圧下での安定推力を維持するため、両社は極限までの部材薄肉化や革新素材の活用等で軽量化及び高効率な燃焼を実現させる予定です。日本政策投資銀行はガスタービンの専門家等へのヒアリングを通じて、こうした技術的ブレークスルーは十分可能であると判断し、今回の融資を決定したものです。
  5. ARJ21は、今後飛躍的な増加が期待される中国航空需要に対応して開発・生産されるものであり、そのエンジン事業にRSPとして参加する日本側にとって事業基盤の一層の強化につながると共に、我が国航空機産業の発展にも資するものです。日本政策投資銀行では、今後も裾野の広い航空機産業を幅広く支援していく所存です。
  6. なお、中国の航空業界に関しては、本行はJAEC等と共同で現地調査等を実施し、その内容について本行産業レポートvol. 13:
    「中国航空業界の動向 -Made in Chinaの航空機が北京五輪の空を飛ぶ-」(平成16年10月発行)
    としてまとめております。

※1 リージョナルジェット機
座席数100席未満の小型航空機であり、主に地域間輸送に使われる。
※2 Revenue Sharing Partner
開発作業の一部を担当し、その割合に応じてエンジンおよびスペアパーツの販売収入を得る収入配分方式の事業参加者。

参考
【開発機体及びエンジンの概要】