日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成16年11月22日
  • 日本政策投資銀行

ケーブルテレビの現状(15年度決算版)
日本政策投資銀行、全取引先ケーブルテレビ(CATV)200社弱の15年度経営データを分析
~インターネット事業の伸長著しく、経常利益水準は約2倍に。
デジタル化投資負担は大きく、広域連携・合併等によるコスト削減や規模
の利益拡大が今後の課題~

<調査の目的>

  • 我が国総世帯数49百万のうち現在25百万世帯(再送信含む)がケーブルテレビ経由でTVを視聴、普及率は50%に達するなど市民の身近な情報インフラとして浸透。
  • 日本政策投資銀行は昭和59年から現在まで約200社のケーブルテレビ事業者に融資を実行、15年度末現在の取引先社数は189社となり営利目的の事業者の約6割程度に相当している。
  • 本報告書では、日本政策投資銀行の全取引先事業者の経営データを統計処理、ケーブルテレビ業界全体の最新の経営状況を分析するとともに、業界の課題及び克服に向けて今後事業者が取り組むべき方向について提言した。 (注:守秘義務上の問題から個々の事業者名は本報告書には一切記載されていない)

<報告書の内容>

  1. ケーブルテレビ事業者は15年度中に加入世帯増加とともに、通信事業が着実に拡大。営業収入全体に占める通信事業収入の比率は25%にまで上昇、累積損失を解消した本行取引先事業者の割合が平成14年度の29%から平成15年度には 37%にまで改善し、通信事業の拡大が事業者の収支改善に大きく寄与する結果となった。だが通信事業も都市部を中心にADSL・FTTHとの競合が激化、同事業の解約率は前年度比増加しており、パッケージサービスの導入やコミュニティチャンネルの充実・きめ細かいユーザーサポートによる地元密着体制整備等の工夫が必要。
  2. デジタル化の動向については、過半の事業者においてデジタル化投資が未了であり、その投資負担は小さくない。また、末端ユーザーのデジタル化は殆ど進んでいない。STB(セットトップボックス)の普及状況は,15年度末現在において稼働台数ゼロの事業者が86社と全事業者の半数弱に上っているうえ、稼働している事業者も1社当たりの平均稼働台数は少なく普及は低調である。地上波デジタル放送の開始がデジタル化促進の大きな原動力となることが期待される。
  3. ケーブルテレビの事業環境は、デジタル化投資負担や衛星放送、ADSL・FTTHとの競合など厳しさを増しつつある。対応策として広域連携・合併等によって、デジタル化投資負担の費用分担や資材・番組の共同購入を通じた規模の利益拡大を実現することが採算確保・デジタル化促進の両面で有効だと思われるが、一部の事案を除けば全国的に広域連携や合併に大きな進展は見られず、今後、業界全体の課題として各地で検討を進めていく必要がある。
【お問い合せ先】
日本政策投資銀行 情報通信部
TEL:03-3244-1660