日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成16年12月1日
  • 日本政策投資銀行

日本温暖化ガス削減基金及び日本カーボンファイナンス(株)の設立
~官民の力を結集したアジア初の温暖化ガス削減基金~

  1. 日本政策投資銀行は、国際協力銀行、本邦民間企業31社とともに、本日、「日本温暖化ガス削減基金(Japan GHG Reduction Fund, JGRF)」(総額141.5百万ドル)を設立しました。また11月25日、日本政策投資銀行は、国際協力銀行、JGRFの大口出資者5社とともに、「日本カーボンファイナンス株式会社(Japan Carbon Finance, Ltd., JCF)」(社長:田中弘、設立時資本金:8,750万円、本社所在地:東京都千代田区)を設立しました。
  2. JGRFは、途上国や東欧諸国等で行われる温暖化ガスの排出削減プロジェクトから生じる排出権をクレジットという形で購入し、それを出資者間で配分することを目的とした基金です。JCFが先ずクレジットの購入を行い、その後、JGRFに転売するという枠組みを採用しております(以下スキーム図参照)。
  3. 我が国は、2005年2月に発効が見込まれる京都議定書において、温暖化ガスの排出に関し、基準年(原則1990年)の排出量と比較して6.0%の削減義務を負っていますが、2003年の我が国の排出量は、逆に基準年と比較して8.0%程度増加しております。一方、我が国の産業界は、日本経済団体連合会が環境自主行動計画を掲げ、温暖化ガスの排出削減に不断の努力を行っていますが、我が国においては、既にエネルギー効率が高く、温暖化ガスの排出削減余地が限られているため、費用対効果に優れており、かつ途上国の持続的発展に貢献する京都メカニズムの活用が温暖化ガス削減のための有効な選択肢として注目を集めております。本基金は京都メカニズムを活用し、京都議定書における削減目標や産業界の環境自主行動計画の達成に貢献することが期待されているアジアで初の温暖化ガス削減基金です。
  4. 京都メカニズムの手法の一つであるクリーン開発メカニズム(CDM)や共同実施(JI)事業は温暖化ガス削減の有効な手段と考えられていますが、 カントリーリスクなど海外で事業が行なわれることに伴うリスク、経験の蓄積されていない新しい制度であることに伴う不確実性への対応リスクなどが想定されます。これらのリスクに対しては、JGRFが、JCFを通じて30~40のプロジェクトに分散投資することによりリスク分散を図るほか、政府系金融機関である国際協力銀行の持つ海外プロジェクトに対する融資機能、海外ネットワーク及び海外プロジェクトを通じたホスト国との密接な関係、世界銀行炭素基金への出資を通じたノウハウ、日本政策投資銀行の持つ開発金融機関とのネットワーク、環境関連対策及びファンド関連業務のノウハウや民間企業の有する温暖化ガス削減に関する実務面でのノウハウを有効活用するなど、官民協調してその知見を結集することによって取り組んでいく予定です。
  5. 本基金は、排出権の購入を主目的としておりますが、それに留まらず、本基金が購入を予定している排出権が、京都議定書上、有効なクレジットであると認定されるために必要な手続きに係る費用を負担し、また、プロジェクト準備段階でのアドバイスも行うなど、温暖化ガス削減プロジェクトの開発段階から関与していくことによって途上国等の持続可能な開発に貢献していく予定です。

以上


(参考)

【日本温暖化ガス削減基金概要】
名称:日本温暖化ガス削減基金(Japan GHG Reduction Fund, JGRF)
形式:任意組合
ファンド規模:141.5百万ドル
出資者:下記表参照
存続期間:2014年12月31日まで

【日本カーボンファイナンス株式会社概要】
名称:日本カーボンファイナンス株式会社(Japan Carbon Finance, Ltd., JCF)
形式:株式会社
設立時資本金:8,750万円
出資者:下記表参照
役員:田中弘(社長)、川下晴久(常務)、乙竹文二・栗本駿・富澤二郎・慶田一郎(以上、取締役)
対象地域:途上国、東欧諸国等
対象プロジェクト:温暖化ガス削減事業


【スキーム図】


【表

日本温暖化ガス削減基金出資者一覧


【表

日本カーボンファイナンス株式会社出資者一覧