日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年8月31日
  • 日本政策投資銀行

平成18年度概算要求について

日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、平成18年度概算要求を取りまとめ、本日、財務省に提出いたしました。

1.平成18年度概算要求の特徴

平成18年度予算要求に当たっては、国の経済財政政策の方針及び経済財政諮問会議における政策金融改革の議論等を踏まえ、民間金融機関と緊密に連携しつつ、真に政策的に必要な分野への資金供給を確保することを基本スタンスといたしました。 主な特徴は以下の通りです。

(1) 民間とのパートナーシップによる次の世代を見据えた成長基盤の確立

民間金融機関との緊密な連携の下、地域、環境・生活、技術の当行重点3分野における活動に注力しつつ、安全・安心くにづくり、国際競争力強化、少子高齢化といった現下の課題にも対応することにより、次の世代を見据えた成長基盤の確立に貢献します(「2.重点要求項目」参照)。

その際、当行の特色である公平中立性、専門性、長期性資金、リスクマネーの供給力等を十分活用するとともに、新たな金融手法や経済価値の創造・普及を通じて金融市場の活性化にも貢献してまいります。

【平成18年度概算要求における分野・機能の特徴】

(2) 政策金融改革の趣旨を踏まえた規模要求
a) 適切な投融資規模の要求

民間金融機関と協調しつつ、真に政策的に必要な分野に資金供給を図るとの観点から、投融資要求規模は17年度当初計画比▲1.7%の1兆1,480億円とします(平成12年度<通期ベース初年度>当初計画比▲約1兆円)。

(参考)18年度要求額と近年の当初計画額との比較

b) 財政融資資金特別会計からの借入規模の抑制および本行調達の市場化

財政融資資金特別会計からの借入金(財政融資資金借入金)は、17年度当初計画比▲1.8%の5,580億円(平成12年度当初計画比▲約1兆円)とし、引き続き投融資規模の50%程度の規模に抑制する一方、政府保証債や財投機関債の発行により、市場からの調達を促進します。

財投機関債については、17年度発行予定額と同額の2,400億円の発行規模を確保、円滑な発行に努力いたします。

参考)財政融資資金借入金と財投機関債発行額の推移

(3) 政策評価等を踏まえた要求段階からの制度見直し

全投融資プログラムの政策評価を実施し、それを踏まえて概算要求段階からの大幅な制度見直し・スクラップを行いました。見直し制度数は廃止も含め10制度を超えます(全体の約1割)。

2.重点要求項目(◆は主な要求制度名で【 】内は要求内容)

(1) 安心・安全くにづくり

防災・減災対策の推進

中央防災会議における企業の防災対策評価指標に準拠した防災格付融資を創設し、企業の防災対策を支援するほか、地震災害時発動型ファイナンス等のリスクファイナンス手法を創造します。また、第3期科学技術基本計画において重点分野として位置づけられる安全・安心に資する技術開発も積極的に推進します。

街の防災対策として、建築物の不燃化事業への取り組みを継続するとともに、津波避難ビルの耐震強化工事にも対応します。

  • ◆ 防災対応促進事業【制度創設】
  • ◆ 危機管理対応金融普及促進【制度創設】
  • ◆ 新技術開発事業【制度拡充:(3)参照】
  • ◆ 都市防災不燃化促進事業【一部期限延長:18年度末まで】
  • ◆ 港湾の機能の高度化に資する中核的施設整備事業【一部金利優遇:政策金利Ⅰ→Ⅱ】
安全・安心な生活環境の実現

安全、安心な街作りをリバースモーゲージ市場の創出・活用を通じて実現します。また、次世代育成支援対策推進法に基づき、積極的な少子化対策を進める事業者の取り組みや、食育基本法の理念に基づき、安全で安心した食品を消費者に届けるための取り組みにも対応します。更に、アスベスト問題についても、建物等の補修・解体工事や工場におけるアスベスト代替品への転換など総合的に対応するほか、鉄道事業の安全対策工事に対しても積極的に対応します。

  • ◆ 金融技術活用型不動産活性化事業【制度創設】
  • ◆ 次世代育成支援対策推進【制度創設】
  • ◆ 製品信用向上システム整備事業【一部金利優遇:政策金利Ⅰ→Ⅱ】
  • ◆ アスベスト対策事業【制度創設】
  • ◆ 大都市圏・基幹鉄道整備事業、地方私鉄【制度継続】

(2) 国際競争力強化、経済活性化の推進

製造業のものづくり力強化への対応

製造業の国内基盤強化に資する研究開発、技能伝承などの活動や企業内外のサプライチェーンを一体的に整備する事業等に対応します。

  • ◆ 最適機能分業体制構築支援【制度創設】
新技術開発の推進

第3期科学技術基本計画において重点分野として定められる国家基幹技術等に対する企業の取り組みを推進します。

  • ◆ 新技術開発事業【制度拡充:(3)参照】
経営資源の有効活用のための基盤整備

DIPファイナンスによる事業再生支援を引き続き行うとともに、コベナンツファイナンス等による経営改革の推進に貢献します。また、知的財産権を有効活用し、知的財産の開発および利用事業の促進を図ります。

  • ◆ 事業再生支援【一部期限延長:平成19年度末まで】
  • ◆ 経営改革推進事業資金調達円滑化支援(コベナンツファイナンス)【制度拡充】
  • ◆ 知的財産有効活用支援事業【制度継続】

(3) 地域再生、環境問題の解決、技術・新産業創造に向けた対応

地域の自立・活性化への貢献

PFI、PPPについて引き続き積極的に取り組むとともに、都市再生ファンド等を通じた都市再生整備事業への資金供給の円滑化や中心市街地活性化に向けた取り組みを強化し、自立的な活力ある地域づくりに貢献します。

  • ◆ 民間資金活用型社会資本整備事業【制度拡充:刑務所整備事業への対応】
  • ◆ 公営事業民間化等促進事業【制度継続】
  • ◆ 市街地再開発事業、都市再生緊急整備地域内建築物整備事業他【制度継続】
  • ◆ 中心市街地活性化整備【制度拡充】
京都議定書の目標達成に向けた取り組みの強化

京都議定書目標達成計画が策定されたことを踏まえて“面・ネットワーク対策”としての省CO 2対策等に取り組みます。また、家庭部門の省エネ、新エネ対策を促進するための資金供給を行います。

  • ◆ 京都議定書目標達成計画策定促進事業【制度拡充】
  • ◆ 総合省エネルギー推進事業【制度拡充(トップランナー機器の普及促進)】
  • ◆ 新エネルギー・自然エネルギー開発【制度拡充(住宅用太陽光発電の普及促進他)】
技術・新産業創造の推進

第3期科学技術基本計画で定められる重点分野等における新技術の開発を推進するとともに、新産業創造戦略に基づく新産業の創出、活性化への取り組みも引き続き強化します。

  • ◆ 新技術開発【制度拡充:上記計画の重要政策(中間とりまとめ)に示された分野】
    • 国家基幹技術(例:宇宙輸送システム、スーパーコンピューティング、タンパク質解析)
    • 安全・安心に資する技術(例:犯罪・テロ防止、新興・再興感染症対策、減災対策)等
  • ◆ 新産業創出・活性化【制度継続】

防災関連分野における日本政策投資銀行の取り組みについて

日本政策投資銀行は、多様な融資メニューを用意して防災、減災、復旧対策を推進してまいりました。関連投融資額は平成15年度で約3,000億円、昭和30年代後半からの累計では10兆円を超えております。平成18年度要求に際しても、防災関連分野における投融資活動の強化を重点課題の一つと捉え、各種制度の創設等に努めて参ります。

防災格付融資の創設

  • 企業の防災への自主的な取組みは、近年のリスク情報の開示の動き等を背景に関心を集めてきているものの、建築物の約35%が耐震性に問題があるほか、BCP(事業継続計画)を策定している企業の割合は日本で1~2割と、5~7割に達する欧米を大きく下回っております。
  • こうした状況を改善するため、中央防災会議において策定する企業の防災対策評価指標に準拠した防災格付融資の創設を要求します。具体的には、当該事業を通じて実現される防災対応力を、生命安全確保策、BCPの策定などの観点から総合的に評価する独自の評価システムを採用し、評価結果に応じて段階的な政策優遇金利を適用することにより、企業の防災対策を推進してまいります。

【制度の概要】

防災格付融資の創設概要図

危機管理対応金融普及促進融資の創設

  • 従来型の保険契約以外のリスク移転方法である地震災害時発動型ファイナンス等やCATボンドなどの新たなリスクファイナンス手法の創造、普及に取り組みます。

防災新技術開発融資の創設

  • 第3期科学技術基本計画において重点分野として位置づけられている安全・安心に係る新技術開発を積極的に推進します。

都市防災不燃化促進融資の継続

  • 建築物の不燃化事業への取り組みを維持、強化します。

港湾地区の地震津波対策促進融資の拡充

  • 津波避難ビルの耐震強化工事に対する金利を優遇します。

【参考】日本政策投資銀行の防災関連融資制度(17年度)

防災関連融資制度図

防災関連融資制度図表