日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年4月6日
  • 日本政策投資銀行

安田倉庫(株)に対し、初めて「防災格付」融資を実行
~「防災対応促進事業」融資制度の第1号案件~

  1. 日本政策投資銀行は、今年度から創設された「防災対応促進事業」(防災格付)融資制度の第一号として、安田倉庫(株)(本社:東京都港区)を対象に選定し、融資を実行しました。
  2. 「防災対応促進事業」融資制度は、中央防災会議「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」をベースにした独自のスクリーニングシステム(格付システム)により企業の防災に対する取組みを評価し、優れた企業を選定、当該企業の防災対策事業に優遇金利で融資を行うという「防災格付」の専門手法を導入した新しい融資制度です。
  3. 安田倉庫(株)は大正8年設立の倉庫会社(東証1部上場)で、グループ会社を含め東京・横浜地区を中心に倉庫業・不動産賃貸業を展開しています。物流企業は顧客(荷主)の事業継続へ向けて重要な役割を担いますが、今回の評価において安田倉庫(株)は、防災対応について高いレベルでの取組みがなされているという結果を得ました。

    安田倉庫(株)では、部署横断的な防災委員会をはじめ社長以下の防災組織体制等が整備されるなど、経営全体にわたり高い防災意識が保たれています。特に、顧客(荷主)対応(=貨物を守る)の姿勢を表すものとして、各施設の防災安全対策、情報系のバックアップ体制整備(設備、回線、データの二重化等)、災害時における顧客(荷主)あるいは自社各事業所等との連絡体制整備、運送会社との連携、等の具体策に積極的に取り組んでいる点が高く評価されました。

  4. 今般の融資は、安田倉庫(株)発祥の地でもある横浜・守屋町における老朽倉庫の更新、情報システムの二重化等の防災対応事業を対象に実施するものです。安田倉庫(株)では事業継続計画(BCP)*の策定にも業界で先行して着手しており、今回融資対象事業と併せて、一層体系的な防災体制を実現し、業界における先進モデルとなることが期待されます。

    (*)日本政策投資銀行の大企業を対象とした調査では、事業継続計画を策定済の企業は全産業で7.9%にとどまり、倉庫業を含む運輸業では5.5%とこれを下回っています。

  5. 日本政策投資銀行では、本件を端緒として、今後とも「防災対応促進事業」融資制度の活用を通じ、企業の防災への取組みを積極的に支援・推進して参ります。

(参考)制度の仕組み

  1. 事業継続計画(BCP)の国際規格化が議論される中、災害大国である我が国では自然災害を念頭においた企業のリスクマネジメント体制の構築が課題となっています。本制度は、災害に強い経済社会を構築する目的から、企業の事業継続の社会的価値を評価し、支援する融資制度です。従来のような個々の防災プロジェクトではなく、企業の防災対策に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 評価にあたっては、中央防災会議(内閣府)「『防災に対する企業の取組み』自己評価表」をベースに当行独自の設問を加えた評価表を用意しています。評価においては、 12 分野(下表参照)、 64 項目にわたり取組状況を確認し、必須項目等のハードルを満たした上で、分野別、金利段階(ステージ)別に一定の充足度を求める「ステップアップ方式」により防災体制の実効性を評価することが可能となっています。
  3. また、取組評価の過程で企業に対して防災への取組みについて助言を行う機能を有し、今後予定する取組みを含めた評価の仕組みとも相まって、企業の防災力向上を促進します。
  4. 本制度は、防災評価に基づき優遇金利による融資を行う世界初の防災格付融資であり、業種別、企業規模別など各層の防災先進企業を対象に、防災への取組みを支援して参ります。