日本政策投資銀行

  • News Release
  • 2007年9月3日
  • 日本政策投資銀行

企業の防災への取り組みに関する特別調査

事業継続計画(BCP)策定企業は8.0%(前回(平成18年1月)調査時7.9%)
財務的な備えは物的損害に限っても6割の企業で不十分

  1. 日本政策投資銀行は、企業の防災への取組みに関する特別調査を取りまとめました。地震をはじめとする自然災害への備えが注目を集める中、本調査は全国の資本金10億円以上の企業1,530社から回答を得ました。
  2. 本調査の主な結果は次の通りです。
    1. (1) 事業継続計画(以下、BCP)を策定している企業は8.0%にとどまるほか、大規模災害に対する財務的な手当ては、物的損害に限っても約6割の企業で不十分となっています。
    2. (2) 業種別では、総じて石油、電力・ガス業のBCP策定割合が高くなっています。
      地域別では、BCPを含む何らかの防災計画がある企業の割合は、首都圏、東海地域で高くなっていますが、過去に大地震の経験が少ない地域では特にBCPや防災計画がない企業の割合が高いところもみられます。
    3. (3) 前回調査との比較では、BCPの策定率はほぼ横這いとなっていますが、何らかの防災計画を策定した企業の割合が前回よりも1割程度増加しています。対外的な情報開示・広報活動については、継続的・定期的に行っている企業と行ったことのある企業がそれぞれ3%ずつ増加しており、若干取り組みの浸透がみられます。財務手当については、特にないとした企業が前回よりも8%減少しており、主に物的損害まではカバーしている企業が増加しています。
    4. (4) 各設問の調査結果の相関をみると、BCP策定済企業のうち、8割近い企業が情報開示・広報活動を行った経験があるのに対し、BCP未策定企業では4割程度にとどまっています。また、BCP策定企業では、24%の企業が操業・復旧資金までの備えを行っているのに対して、BCP未策定企業では財務手当を行っている企業が5%にとどまっています。
  3. 7月16日に発生した新潟県中越沖地震をはじめ近年の地震や風水害では、直接被害に加え、生産の停滞によりサプライチェーン全体にわたる間接的、経済的な被害が改めて認識されました。こうした中、政府 中央防災会議(会長安倍総理大臣)では、平成17年8月に「事業継続(BC)ガイドライン」、10月に「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」を策定・公表し、企業の防災への取組み高度化を促す方向を打ち出しています。

    本調査結果は、前回調査と比べて企業において防災への取組みを強化する動きがみられるものの、事業継続へ向けた対応は改善の余地が依然大きいことを示しています。人や物への被害を抑える観点から行われてきた従来からの防災対策にとどまらず、売上の毀損やブランドの失墜を防止するための事業継続の取り組みは、ビジネスにおける企業評価の対象としても重要性を増してきており、今後一層の取り組み進展が期待されます。