日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成19年10月22日
  • 日本政策投資銀行

堺市の製造業 持続的発展のためのポテンシャル調査
~ 地元企業へのアンケート調査をもとに考える ~

  1. 堺市産業振興局と日本政策投資銀行は、堺市の地元製造業の持続的発展を支援するため、2007年1月、堺市に本社を置く製造業企業に対し、現在の課題、他企業との連携状況、堺市に立地するメリットなどにつき、アンケート調査を実施した(有効回答企業数190社、回答率19%)。
  2. 回答企業の売上高は1億円以上30億円未満に、従業員数は4人以上50人未満に四分の三以上が集中している。自社ブランドを製造する企業が6割近くに達し、差別化を図っている企業が多い。
  3. 労働力・人材の確保では、「十分確保している」との回答が7割強を占めたが、今後は「確保が難しい」と考えている企業が6割を超えており、労働力・人材不足が深刻化する可能性がある。労働力・人材不足への対応では、「退職直後のシニア」(60歳代前半)と「若年労働者」への期待が大きい。
  4. 他社と比較した技術力は、「多少高い」と回答した企業が5割近くを占め、「著しく高い」を含めた「高い」は6割近くに達しており、また3~5年後の技術開発力は「向上する」と予想している企業が5割、「変わらない」と考えている企業が45%を占めていた。ただし、研究開発専従者は、「いない」企業が5割近くを占め、「1~4人」も4割を超えており、中小企業の制約から研究開発体制は万全とは言い難い。
  5. このように、堺市の製造業の持続的発展のためには労働力・人材の確保、技術開発などの課題に企業自らが積極的に取り組むことが求められるが、地域ブランドの確立や情報ネットワークの形成など、個々の企業だけでは十分な対応が難しいものもある。また、都市機能や情報インフラの整備など、いわば広い意味での社会的共通資本については、自治体が一部を補完することも大切である。
  6. 今般、シャープ(株)が液晶ディスプレイ及び太陽光発電の大型工場を堺市内に建設する計画を表明したが、大手資本と地域企業の連携・交流による地域技術力の底上げも必要であろう。地域メーカー、大手メーカー、自治体が一体となり製造業をブラッシュアップすることにより、新たな飛躍へのプラットホームが形成されるものと期待される。

以上