日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成19年11月30日
  • 日本政策投資銀行

日本合成化学工業(株)に対し、環境格付に基づく融資を実施
~化学業界初の3年連続の取得~

  1. 日本政策投資銀行は平成19年11月、「環境配慮型経営促進事業」融資制度の対象として、日本合成化学工業株式会社(本社:大阪市)を選定し、融資を実行しました。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付システム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。
  3. 今回の評価対象となった日本合成化学工業株式会社は、昭和2年に日本初の合成酢酸メーカーとして設立され、その誘導品であるポリビニルアルコール(PVOH)やエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)では世界有数のシェアを有する化学系素材メーカーです。また今日では、液晶TV・ディスプレイ向け偏光板用PVOHフィルムをはじめとする情報電子材料や環境に優しい水系エマルジョンなど、今後の成長が期待される分野にも注力しています。

    同社は、化学産業界の環境・安全・健康の確保に関する自主管理活動であるレスポンシブル・ケア活動に基づき、環境配慮および安全面を重視したグループ経営を展開しており、平成17年10月に上記融資制度の最初の適用を受けました。当時においても、経営、事業、パフォーマンスの3要素全てに亘ってバランスの取れた環境経営を展開しており、特に、VOC対策をはじめとする化学物質管理の高度化を進めていること、製造工程高度化などにより産業廃棄物等の削減を進めており、将来的にゼロエミッションを目指していること、中期スパンでの環境推進計画を策定するなど環境マネジメント面で高度な取り組みを行っていることなどを当行は高く評価しました。また、ユーザー段階での環境負荷を低減するために材料面から研究・技術開発を進めている点、地域社会とのコミュニケーション活動を重視する中で、にちごうビオトープといった自然保護活動に力を入れている点も同社の特徴です。

    さらにその後、化学物質管理において重点物質の環境への排出量・移動量の大幅な削減を達成したことに加え、モーダルシフトやパレットの樹脂化をはじめとした物流面での環境負荷への低減を積極的に進めるなど当社サイト外での取り組みを進め、評価時に当行が課題として指摘した点を踏まえ、毎年、グループ全体で環境経営を改善し、レスポンシブル・ケア活動の個別項目につき、2010年に向けての取り組み課題と目標数値を策定するなど高度なマネジメントを継続的に推進してきた結果、2年連続で、前年度をさらに上回る結果となり、「環境への配慮に対する取組みが特に先進的」という、最高ランクの格付を今年度も取得致しました。3年連続での環境格付の取得は、化学業界では、本制度の開始以来初めてのことです。

    同社の取り組みは、同社製品を原材料とする最終製品を通じて、わが国の環境パフォーマンス改善に繋がるものであり、「化学業界のCSR経営」確立に向けて、今後、より一層の環境経営の高度化が期待されるところです。

  4. 当行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで多様な企業の評価を実施しており、105件(本件を含む)の融資(及び保証)を実行しています。業種構成も、本件に代表される素材型の製造業を始め、小売業やリース業など非製造業へも一層の広がりをみせています。今後も、多様な業種特性を踏まえて、適切な環境配慮型経営の評価に努めて参ります。

以上