『「北海道の水ビジネスを考える」研究会』報告書を公表~官民連携による新たな事業主体の設立などを提言~

北  海  道  大  学
株式会社日本政策投資銀行

 北海道大学(総長:佐伯浩)と株式会社日本政策投資銀行(社長:室伏稔、以下、「DBJ」という。)は、昨年7月に共同で『「北海道の水ビジネスを考える」研究会』(注)を設立し、これまで北海道の水ビジネスについての検討を行ってきたところですが、このたび、その研究成果となる報告書を作成いたしました。
  (注)「北海道の水ビジネスを考える」研究会について
     [ 構 成 ] 北海道大学公共政策大学院、同大学院工学研究院、DBJ、北海道経済連合会など
           (民間企業、道内水道事業者などはオブザーバー参加)
     [開催状況] 計9回 (各回1~2名の講師を招聘)

 近年、世界の水問題への関心が高まるなか、新たな水ビジネスへの期待が強まっているところですが、一方で、我が国の水道事業は巨額の更新投資や技術継承などの課題を抱え、事業の再構築が喫緊の課題となっております。
本報告書では、こうしたなかでの北海道における持続可能な道内水道の実現と、水ビジネスを担う企業の創出による北海道経済の成長促進方策を検討し、以下のとおり提言を行っております。

1.北海道は豊かな水資源に恵まれる一方で、道内水道事業は、中小事業者が多いうえに、多くの市町村が人口減少過程に入っているものの経営統合の動きからは取り残された状況にあることから、より効率的な事業運営が求められており、官民連携や広域連携などの進展が不可欠。その際には、官の水道運営技術と民の柔軟な経営力の融合が、展開の基本方向となる。
そのため当面の方向として、中核となる水道事業者と民間による連携が、最も強みを発揮できる枠組みであると考え、札幌市を中核とし、民間と連携した新たな事業主体の設立が望まれ、新会社や既存法人の活用などにより設立する手法などを想定。

2.広域連携については、当面広域札幌圏が展開地域となるが、順次、各地域の水道事業者との合弁などにより事業を展開する。また、官民連携をより効果的に推進するために、将来的にはコンセッションを活用する方向が重要となる。海外展開については、道内の事業基盤の確立を待ったうえで、当面はリスクの小さい分野から展開を図っていく。

3.北海道内の水利用に関しては、豊かな水資源が賦存しているものの、輸送手段・コストなどの制約から未活用資源も多い状況にあり、道外への効率的な水輸送システムの整備などがポイント。ミネラルウォーターなどについては、容器の内製化を図り量産効果を発揮できる生産体制の確保などが必要。海外への水輸送については、相手先との信頼関係を前提に、様々な輸送形態の可能性を検討していく必要がある。

4.東日本大震災では、水道などのライフラインの重要性が改めて認識されたほか、復興に向けて官民連携や広域連携による民間資金を活用した効率的な整備が強く求められるものと予想される。本報告書で提案する広域連携のための事業主体は、震災復興に対する支援においても、一定の役割を果たし得る可能性がある。

 当報告書をご希望の方は、DBJウェブサイト「地域・海外レポート(北海道)」(https://www.dbj.jp/investigate/list/?year=2011&cat=report&area=hokkaido)に掲載していますので、ご参照ください。

 北海道大学とDBJは、今後におきましても連携して、地域の関係者とともに地域経済の一層の活性化を支援してまいります。


【お問い合わせ先】
北海道支店 企画調査課  電話番号011-241-4117

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