日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成13年11月16日
  • 日本政策投資銀行

地域社会の信用を担保とした新たな金融手法
(コミュニティ・クレジット)による初の融資を決定

  1. 日本政策投資銀行(総裁 小村武)及びみなと銀行(頭取 矢野恵一朗、本店:神戸市)は、日本トラストファンド株式会社(本社:神戸市、宮下敬正社長、資本金20百万円)を中心とした阪神・淡路大震災被災企業等15社のグループ(コミュニティ)が展開する事業に対し、コミュニティ・クレジット(後述)による協調融資を決定しました。
  2. コミュニティ・クレジットとは、日本政策投資銀行が提案する金融手法で、地域社会において互いに信頼関係にある企業等が、相互協力を目的に資金を拠出し合い連携することで、(構成員の個々の信用より)高い信用を創造し、金融機関からの資金調達を円滑化するとともに、地域の資金を地域に環流させるものです。相互に豊富な情報を有する地域企業間の信用に依拠し、プロジェクトファイナンス等で用いられる新しい金融技術(仕組み金融、契約技術、デューディリジェンス等)を組み込んだものです。
  3. 日本トラストファンド(株)(以下「トラストファンド」)は、「自助・自立の精神による被災地経済の再生」を目的に、被災企業等の自発的な連携により1999年に設立された会社(現在地域の26社が出資)。これまで神戸市内において「神戸駅前大学」を開催し、意欲のある企業・人材の育成、企業間連携や新規事業の創出を図ってきており、既に100社を超える地域企業が参加しています。このうち、トラストファンドを実質的に立ち上げてきた地域の中堅企業等15社が今次コミュニティを構成しています。
  4. 今回、コミュニティ・クレジットにより支援される事業は、トラストファンドがインターネット上で開設する「神戸駅前オンライン大学(http://www.jtf.co.jp)」と連携して新たに事業化される6プロジェクト。何れもコミュニティの中で、地域への貢献度や事業性が高く評価された事業であり、オンライン大学のインフラやブランドも活用して事業展開を図るほか、実施企業はコミュニティ・クレジットの借入を行うことで「地域で信頼される企業」「情報を積極的に開示する企業」として成長を目指します。
  5. 今次スキームにおいて、コミュニティの構成企業は信託を金融プラットフォームとして必要資金(1億円)の50%を拠出し、残りの50%については銀行から資金調達を行います。構成企業は投資先事業の償還確実性を証明するため、各事業の借入について30%の部分保証を行うほか、自ら信用調査会社を活用した徹底した情報開示を行い、開示した情報の真正性を連帯保証します。日本政策投資銀行とみなと銀行は不動産等の担保や経営者の保証は徴求しませんが、コミュニティの内容やストラクチャ等を評価してリスクに応じた金利により融資を行います(ノンリコースのシンジケート・ローン)。また、今回、信託の受託者として「株式会社しんきん信託銀行」、デューディリジェンスの機関として「株式会社東京商工リサーチ」、リーガルアドバイザーとして「アンダーソン毛利法律事務所」が参加しています。
  6. 地域金融においては、金融機関と企業の情報の非対称性が大きくなる傾向にあることなどから、担保や公的機関の信用補完等に依存しない、信用の実体に見合った資金調達を地域企業が行うことは必ずしも容易ではありません。日本政策投資銀行及びみなと銀行は、コミュニティ・クレジットの活用等により今後も地域固有の情報を積極的に取り込み、地域の自発的な取り組みに対する支援を行っていく方針です。

プロジェクト概要

1.参加企業(出資者) :日本トラストファンド株式会社他計15社
2.借入企業 :参加企業の内6社
3. 場  所 :神戸市
4. 事業総額 :1億円
5. 融資予定 :日本政策投資銀行 25百万円(期間2年)
  みなと銀行      25百万円(期間2年)
【お問い合せ先】
日本政策投資銀行プロジェクトファイナンス部 Tel 03-3244-1619
みなと銀行企業サポート部 Tel 078-333-3283
日本トラストファンド(株)代表取締役 Tel 078-232-5051