日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成15年1月7日
  • 日本政策投資銀行

日本政策投資銀行、首都圏の使用済みプラスチックガス化
リサイクル事業に対し初の融資

日本政策投資銀行は、神奈川県川崎市にて使用済みプラスチックのガス化リサイクル設備を新設する昭和電工(株)(大橋光夫社長、本社:東京都港区)に対し、今般、融資することを決めた。

1.事業の概要

  • 昭和電工(株)は、当社川崎事業所において、使用済みプラスチックのガス化によるケミカルリサイクル事業を開始する。本事業は、川崎市のエコタウン構想に沿って進められるもので、加圧二段ガス化プロセスを導入し、容器包装リサイクル法に基づいた「プラスチック製容器包装」を化学品原料として完全リサイクルする循環型社会形成への貢献を目指す計画である。

2.加圧二段ガス化プロセスの概要

  • 本プロセスは、宇部興産(株)及び(株)荏原製作所が共同開発し、山口県宇部市にて実用している使用済みプラスチックのケミカルリサイクル技術によるものである。低温ガス化炉と高温ガス化炉から構成される二段ガス化プロセスにより、使用済みプラスチックは熱分解・部分酸化されて、再商品化製品である水素・一酸化炭素ガス(アンモニアの基礎原料)を生成する。
  • 使用済みプラスチックのケミカルリサイクルは、油化・高炉還元・コークス炉化学原料化といった手法があるが、本プロセスの最大の特徴は、使用済みプラスチックの種類を問わず、塩ビも分別することなく処理可能であることであり、ダイオキシン問題の原因となる塩素もソーダ電解原料として場内でリサイクルされるため、本格的なリサイクル技術として注目されている。

3.プロジェクトの概要

  • 平成9年に施行された容器包装リサイクル法により、平成12年度からプラスチック製の容器包装の再商品化が義務付けられており、同法に基づき分別収集された容器包装廃プラスチック等の再商品化を受託するもの。
    • ◇処理能力:195t/日(年間約6.4万t)
    • ◇新設に伴う総事業費:約99億円
    • ◇本行融資予定総額:39億円
  • 産業基礎素材であるアンモニアは、ナフサ、LPG(液化石油ガス)、石炭などの輸入原料から生産されているが、本プロジェクトは、国内のアンモニア工業に使用済みプラスチックという新たな純国産の原料ソースの可能性を開くものとして注目される。

4.環境面の効果

  • 使用済みプラスチック等の有機廃棄物をガス化リサイクルすることで、環境負荷の低減が期待出来る。
    1. ダイオキシン類による環境汚染を心配することなく、使用済みプラスチックの再商品化が可能である。
    2. 再商品化した製品ガスを化学原料等に利用することで、化石原料の使用量を削減することが出来る(CO2の排出を軽減)。
【問い合わせ先】
日本政策投資銀行   産業・技術部   TEL 03-3244-1680