日本政策投資銀行

  • News Release
  • 2002年9月19日
  • 日本政策投資銀行

日本政策投資銀行、全取引先CATV200社弱の13年度経営データを分析
~インターネット事業は着実に拡大するも、末端ユーザーのデジタル化進まず。
広域連携・合併等によるコストシェアリングや規模の利益拡大が今後の課題~

<調査の目的>

  • 我が国総世帯数48百万のうち現在20百万世帯(再送信含む)がケーブルテレビ経由でTVを視聴、普及率は40%に達するなど市民の身近な情報インフラとして浸透。
  • 日本政策投資銀行は昭和59年から現在まで約200社のケーブルテレビ事業者に融資を実行、13年度末現在の取引先社数は189社となり営利目的の事業者317社の6割に相当している。
  • 本報告書では、日本政策投資銀行の全取引先事業者の経営データを統計処理、ケーブルテレビ業界全体の最新の経営状況を分析するとともに、業界の課題及び克服に向けて今後事業者が取り組むべき方向について提言した。

    (注:守秘義務上の問題から個々の事業者名は本報告書には一切記載されていない)

<報告書の内容>

  1. ケーブルテレビ事業者は13年度中に加入世帯増加とともに、通信事業が着実に拡大。営業収入全体に占める通信事業収入の比率は12年度の 13.7%から13年度には18.8%にまで上昇、これによって経常黒字である本行取引先事業者の割合が平成12年度の57%から平成13年度には69% にまで改善し、通信事業の拡大が事業者の収支改善に大きく寄与する結果となった。だが通信事業も都市部を中心にADSLとの競合が激化、同事業による収支改善効果は今後数年程度で頭打ちとなる可能性もあり、早期にユーザーを囲い込むべく適切な規模・質の営業人員投入やきめ細かいユーザーサポートによる地元密着体制整備等の工夫が必要。
  2. デジタル化の動向については、13年度末にはデジタル化対応の伝送路規格を採用した事業者が約半数に達するなど事業者側設備におけるデジタル化は進展したものの、末端ユーザーのデジタル化は殆ど進んでいない。STB(セットトップボックス)の普及状況は,13年度末現在において稼働台数ゼロの事業者が90社と全事業者の略半数に上っているうえ、稼働している事業者も1社当たりの平均稼働台数は92台と普及は低調である。STB本体の機器コストが高い事が主な要因だが、ケーブルテレビ視聴者の多くがデジタル化のメリットを享受出来ない体制のまま2003年末以降全国で順次地上波デジタル放送が開始される怖れがある。
  3. ケーブルテレビの事業環境は、デジタル化投資負担や衛星放送・ADSLとの競合など厳しさを増しつつある。対応策として広域連携・合併等によって、デジタル化投資負担のコストシェアリングやSTB等の資材・番組の共同購入を通じた規模の利益拡大を実現することが採算確保・デジタル化促進の両面で有効だと思われるが、13年度を通じて全国的に広域連携や合併に大きな進展は見られず、今後、業界全体の課題として各地で検討を進めていくべきである。
【お問い合せ先】
日本政策投資銀行 情報通信部
TEL:03-3244-1660