日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成14年10月17日
  • 日本政策投資銀行

ダイエー企業再建ファンドへの出資について

  1. 日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、このたび、株式会社ダイエーの企業再建ファンドを、主力3行(株式会社UFJ銀行、株式会社三井住友銀行および株式会社みずほコーポレート銀行)と共同で設立することといたしました。当行は、主力3行よりファンド組成の要請を受け、十分審査を行ってまいりましたが、その結果、ダイエーには十分再建の可能性があると判断されたことから、ダイエーの増資引受に充てるため100億円をファンドに出資することとしたものです。当行の出資金はダイエーの戦略投資の原資として活用される予定であり、同時にファンドは適切なモニタリングを通じて、ダイエーの再建計画の遂行を支援してまいります。

    ダイエーの再建のためには、過去の負の遺産を一掃し、経営効率化を図ることはもとより、本業である小売業において顧客の支持を回復すべく最善の努力を行うことが不可欠と考えております。当行としては、を中心に全社一丸となり、初期の目的を達成できるよう強く期待しており、当行もファンドを通じダイエー再建を支援してまいる所存です。

  2. ファンドの概要と特徴は以下の通りです。
    1. (1)  DESを活用した企業再建

      主力3行は、ダイエー「新3カ年計画」に沿って貸付金のデット・エクイティ・スワップにより取得した普通株および優先株(発行総額各100億円、400億円)をファンドに現物出資する。日本政策投資銀行は、100億円をファンドに金銭出資する。

    2. (2)  戦略投資の支援

      日本政策投資銀行の金銭出資100億円は、ダイエーの戦略投資の財源とし、今後ダイエーが増資を行う際にファンドが普通株を取得する。戦略投資は、既に新3ヵ年計画に盛り込まれている投資に加え、再建計画の達成をより確実にしスピードアップを図るためのものであり、ファンドは主力3行による融資資金に加えて新資本を供給するものである。

      (例) 1) 顧客ニーズに応じた機動的な営業強化・商品開発・店舗改造の改善(ソフトリニューアル等)2) システム・物流等営業を支えるインフラの再構築 等

    3. (3)  モニタリングの重視

      再建の進捗状況を入念かつ的確にモニタリングすることにより、経営の緊張感をさらに高め、再建計画の実現性を高める。毎月、再建計画の達成状況(各店舗・部門の業況、事業売却・不採算店舗閉鎖等のリストラ計画の進捗等)、今後の対応方針(本業の具体的な改善策、リストラ策のスケジュール等)をモニタリングし、再建計画の達成に向けたアドバイスを行う。

    4. (4)  独立した客観的な運営

      第三者の視点からの客観的なモニタリング実施を確保するため、ファンド運営の意思決定はダイエーとの関係の大きい主力3行から独立したものとする。このため、私的整理ガイドラインを取りまとめ、また、ダイエー新3カ年計画のレビューを行い、ダイエーの特別顧問として中立的な立場から意見具申を行っている獨協大学高木新二郎教授・法学博士にその運営アドバイザーを依頼する。高木新二郎氏は毎月のモニタリングを通じ、また、ダイエーの特別顧問として再建のアドバイスを行う。

  3. 今回の検討に先立ち、既に高木新二郎氏をはじめとする弁護士、公認会計士により「ダイエーグループ新3カ年計画に対する調査」が実施されておりましたが、当行は、新たに外部から投資を行う者の観点から、更に入念な審査を行いました。このため、財務・会計面でのデューデリジェンスはもとより、事業面でも、商品戦略、CVC開発、店舗改造、テナント導入、顧客サービス改善、グループ事業管理、店舗・事業閉鎖等を担当する各本部の他、全国の主要店舗約50店についての調査・インタビューなどを入念に行ったうえで、本ファンドへの参画を決定いたしました。

    ダイエーが、を中心に全社一丸となり、1) ダイエーの経営資源上の強みである「活力ある人材」を本業に集中するとともに、その能力が十分発揮できるような組織体制作りと更なる能力引上げに努めていくこと、2) 顧客のニーズを着実かつ敏感に把握し、常に顧客の観点に立った商品・サービスの提供を行うとともに、メーカーとの商品開発、テナントの強い商品力など社外活力との協働も推進しつつ、顧客満足度を高めること、3) 本部と店舗現場の意志疎通の円滑化を図りつつ、自己評価および外部評価を機動的に改善に繋げるPLAN-DO-CHECKサイクルを確立し、顧客満足と従業員満足の向上に結びつけること、によって、初期の目的を達成できるよう、強く期待しているところです。

    当行は、前記の「戦略投資」に活用される追加資本の原資をファンドに供給するとともに、経営モニタリング、アドバイス等のファンド運営が円滑に進められるよう、人材・ノウハウ面でも高木新二郎氏をバックアップしていく所存です。

以 上

【お問い合せ先】
日本政策投資銀行 事業再生部
電話:03-3244-1351