日本政策投資銀行

  • News Release
  • 2006年1月5日
  • 日本政策投資銀行

企業の防災への取組みに関する特別調査

事業継続計画(BCP)策定企業は7.9%
財務的な備えは物的損害に限っても7割の企業で不十分

  1. 日本政策投資銀行は、企業の防災への取組みに関する特別調査を取りまとめました。地震をはじめとする自然災害への備えが注目を集める中、本調査は全国の資本金10億円以上の企業1,623社から回答を得ました。
  2. 本調査の主な結果は次の通りです。
    1. (1) 今後の防災関連支出については横ばいとする企業が多数を占めるが、今年度増加する企業は約2割、中長期的に増加を見通す企業は1/4に達している。
    2. (2) 先進的な取組みの状況をみると、事業継続計画(BCP)を策定している企業は7.9%にとどまるほか、大規模災害に対する財務的な手当ては、物的損害に限っても約7割の企業で不十分となっている。
    3. (3) 今後取り組むべき対策としては、過半の企業が「防災計画・マニュアルの整備」、「従業員の教育・訓練」を挙げた。また、BCPを有する先進的な企業に限ると、「従業員の教育・訓練」を挙げる割合がさらに高まり、「地方自治体・住民等との連携」、「取引先との協力体制」の順位が繰り上がるなど、ソフト対策の重要性が高まる。
    4. (4) 業種別には、総じて石油、電力・ガス業の取組水準が高いが、ほぼ全ての産業で中長期的に防災関連支出を増やす企業の割合が高まる見通しとなっている。

      地域別には、東海地域を含む三大都市圏で取組みが進んでいるが、地震被害が比較的少ない地域でも今後対策を強化する傾向がみられる。

  3. 近年の地震や風水害では、直接被害に加え、生産の停滞による間接的、経済的な被害が改めて認識されました。こうした中、政府中央防災会議(会長小泉総理大臣)では、平成17年8月に「事業継続(BC)ガイドライン」、10月に「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」を策定・公表し、企業の防災への取組み高度化を促す方向を打ち出しています。

    本調査結果は、企業において防災への取組みを強化する動きがみられるものの、事業継続へ向けた対応は改善の余地が依然大きいことを示しています。