日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年3月2日
  • 日本政策投資銀行

病院事業に関するアンケート調査結果について

日本政策投資銀行では、昨年11月に病院事業者を対象にした「病院事業に関するアンケート」を行いました。調査内容及び回答結果は以下のとおりです。

1.調査目的

医療分野においては、高額化する先端医療機器の購入や老朽化した病院の建替えのための資金調達の問題や、高齢化の進行に対応するための老人介護施設の整備等が喫緊の課題と考えられる中、弊行では医療分野に携わる事業者の現状や今後の事業展開に関する動向を把握し、今後の政策支援スキームの立案の参考とすることを目的にアンケート調査を実施しました。

2.調査要領

・調査時期 平成17年11月
・調査対象 概ね病床数100床以上の病院を経営する民間事業者
2,129事業者
・回答状況 306事業者(回答率 14.4%)
・主な調査項目  
  (1)今後の設備投資計画について
  (2)高度検診・治療機器の活用について
  (3)病院関連事業・介護関連事業への取組みについて
  (4)資金調達動向について
  (5)事業計画の策定について

3.調査結果の概要

(1)今後の設備投資計画について

  • 今後、「既存施設の建替」または「改装」を計画している事業者は回答事業者全体の64%を占め、さらに3年以内に実施を予定する事業者だけでも43%にのぼり、今後の病院経営において設備投資が喫緊の課題となっていることが伺える結果となった(図表1)。
図表1 既存病床の「建替」または「改装」計画の有無

(2)高度検診・治療機器の活用について

  • PET検診施設を「導入済み」あるいは「今後導入を検討」している事業者は16%となっており、その内訳を病床規模別に見ると規模の大きい事業者の割合が高くなっている。

(3)病院関連事業・介護関連事業への取組みについて

  • 介護関連事業を行っている事業者は70%となっており、運営事業者の病床規模別の割合に差異はあまりない。また、今後の展開も「拡大方向」が49%、「現状維持」が50%となっている。病院経営者の介護分野への関心の高さが伺える結果となっている。

(4)資金調達動向について

  • 現在の資金調達に関する満足度を見ると、「十分満足」と「概ね満足」を合わせた満足の割合が55%と、「少し不満」と「非常に不満」を合わせた不満の割合の21%を大きく上回っている(図表2)。
  • また、資金調達のうえで、どのような点に満足(不満)を感じているのかを分析すると、「十分満足」や「概ね満足」と回答した事業者ではどちらも「金利条件」の満足感が高く、次いで「借入期間」となっている。一方、「少し不満」や「非常に不満」と回答した事業者では「担保条件」や「借入期間」に不満が集中している(図表2)。
  • 金融機関との現在の取引状況については、「地方銀行」の利用割合が最も高く80%に達し、続いて「リース会社」、「都市銀行」となっている(図表3)。また、現在取引のある金融機関以外の業態の金融機関との取引を新たに検討している事業者が25%あり、資金調達先の多様化を模索する意向も伺える。
図表2 現状の資金調達に対する満足感および満足(不満)を感じる点
  割合 (満足(不満)の内容、複数回答)
金利 借入期間 担保 手続き 経営指導 情報提供 その他
十分満足 9.6% 39.3% 28.6% 3.6% 25.0% 0.0% 7.1% 3.6%
概ね満足 45.4% 48.5% 39.4% 20.5% 27.3% 5.3% 8.3% 1.5%
どちらでもない 17.9%
少し不満 15.8% 23.5% 41.3% 43.5% 19.6% 10.9% 17.4% 6.5%
非常に不満 5.5% 4.5% 37.5% 62.5% 18.8% 6.3% 31.3% 25.0%
未回答 5.8%
合  計 100.0%
図表3 現在の取引金融機関の状況(複数回答)
  取引あり 取引なし 未回答 合計
都市銀行 47.8% 38.5% 13.7% 100.0%
地方銀行 80.1% 12.7% 7.2% 100.0%
信金・信組 36.1% 47.4% 16.5% 100.0%
保険会社 19.2% 61.5% 19.3% 100.0%
リース会社 62.2% 23.7% 14.1% 100.0%
政府系金融機関 40.9% 45.0% 14.1% 100.0%
その他 3.1% 55.7% 41.2% 100.0%

(5)事業計画の策定について

  • 今後の病院経営に関し、事業改善計画や中期事業計画の策定については、回答事業者のほとんど(92%)がその必要性を感じており、また、策定事業者の過半が病院事務局単独での策定と回答しているが、外部コンサルタントを活用するケースも27%に達している。

以上