- News Release
- 平成17年4月8日
東京三菱銀行と日本政策投資銀行が
初の環境格付に基づくシンジケート・ローンを組成
~ (株)竹中工務店に対し、「環境配慮型経営促進事業」制度を適用~
- 日本政策投資銀行(アレンジャー)は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として株式会社竹中工務店(本社:大阪市中央区)を選定し、当社に対し、株式会社東京三菱銀行(アレンジャー兼エージェント)とシンジケート・ローンを組成しました。本件は、株式会社東京三菱銀行と日本政策投資銀行が平成16年9月に締結した環境分野における業務提携によるもので、環境格付に基づくシンジケート・ローンの組成は、国内第1号となります。
- 環境配慮型経営促進事業は、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。 日本政策投資銀行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化、優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の優遇金利を設定します。
- 当社は大手建設会社で最古の歴史(慶長15年(1610年)創業)を持つ斯業界の名門であり、その技術力並びに施工建築物は高い評価を得ています。
当社においては、特に、(1)「サステナブル・ワークス」というコンセプトを掲げ、計画・設計、施工、運用・リニューアル、解体・リサイクルという建築物のライフサイクルに対応した多様な環境配慮を進めていること、(2)個々の施工段階において、資材の効率配送、廃棄物分別回収・リサイクルを業務委託先と連携して進めていること、(3)自社Webサイト「環境保全への貢献」にて、詳細な環境関連情報を開示していること等が、環境配慮型経営の実践例として高く評価され、建設業界で初めて、当社は最も高い格付けを取得しました。
建設投資が国内総支出や雇用に占めるウェイトの高さゆえに、建設業は環境問題についても大きな影響を与える存在といえます。当社の取り組みが、サプライチェーンを介して裾野の広い建設業界に波及・伝播し、わが国の建設ストック形成・維持管理に係る環境負荷の低減につながることを期待しています。
- 当行は、現在、本制度について大手から中堅クラスに至るまで120社余りの評価作業に着手しており、既に 40社程度の評価を完了、うち32件(本件を含む)の融資(保証)を実行しています。対象業種も、今回の建設業への適用に見られるように、当初の素材型製造業中心から小売業やリース業等へ多様化が進んでいます。当行は今後とも、様々な企業の環境に配慮した取組を支援して参ります。
(参考)制度の仕組み
(1)特色
- ①従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
- ②製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
- ③中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
- ④「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常 項目が103、加点項目が24の構成です。 このうち、加点項目は際だって優れた企業を念頭に設定された設問です。 このように、企業の取り組みを包括的に評価することが可能となっています。
(2)評価の方法
- ①環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
- ②配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
- ③この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。
- ④対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評価 | 得点 | 適用金利等 |
---|---|---|
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 | 156点以上 | 政策金利 III |
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 | 140~155点 | 政策金利 II |
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 | 120~139点 (110~139点) |
政策金利 I |
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 | 120点未満 (110点未満) |
対象外 |
注) ( )内は中堅企業等
以上