日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年7月7日
  • 日本政策投資銀行

朝日工業株式会社に「環境配慮型経営促進事業」融資制度を適用

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」融資制度の対象として、朝日工業株式会社(本社:東京都)を選定し、融資を実行しました。鉄鋼業界では初の制度適用となります。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。本制度の特徴としては、業種による環境対策の相違を反映したスクリーニングシートのバリエーション展開を図っている点があげられます。現在、製造業3種類、非製造業10種類のバリエーションが用意されていますが、本件においては、「製造業・素材型」バージョンを適用しています。
  3. 今回の評価対象となった朝日工業(株)は、関東地方に電炉を有し、鉄スクラップから電炉を用いて異形棒鋼・構造用鋼などの鉄鋼製品を製造する鉄鋼事業、肥料を始め家庭園芸資材などを製造・販売する農業部門を併営しています(創業:昭和10年)。

    当社は、事業全体が環境に密接に関連していることから、循環型社会の実現を理念とし、一貫して自らの事業を「環境業」と位置付けて活動してきています。このことは、経営、事業、パフォーマンスの3要素全てに亘ってバランスの取れた環境経営を展開しているという今回の評価結果にも表れています。

    特に、電炉による鉄鋼製品の生産と肥料製造という異なる業種の複合体でありながら、ISO14001の認証を全工場で取得するだけでなく、事業部門毎の環境経営体制の構築や詳細な環境関連設備投資計画を織り込んだ中期環境行動計画の策定など、環境経営の高度化に努めている点を当行は高く評価いたしました。また、業種特性を活かし、自社の廃棄物だけでなく、他社の廃棄物をも積極的に受け入れて再資源化している点も高く評価しています。

    電炉、農業資材の複合メーカーたる当社の取り組みは、循環型社会形成という点で我が国全体の環境パフォーマンス改善に繋がるものであり、今後の電炉及び肥料業界の更なる環境経営の高度化促進への波及効果が期待されるところです。

  4. 当行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで多様な企業の評価をしており、36件(本件を含む)の融資(保証)を実行しています。業種構成も、本件に代表される素材型の製造業を始め、小売業やリース業など非製造業へも一層の広がりをみせています。今後も、多様な業種特性を踏まえて、適切な環境配慮型経営の評価に努めて参ります。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
  4. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常項目が103、加点項目が24の構成です。このうち、加点項目は際だって優れた企業を念頭に設定された設問です。 このように、企業の取り組みを包括的に評価することが可能となっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
  3. この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。
  4. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評価 得点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利 III
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利 II
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(110~139点)
政策金利 I
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(110点未満)
対象外

注) ( )内は中堅企業等

以上