日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年7月13日
  • 日本政策投資銀行

ヤンマー株式会社に「環境配慮型経営促進事業」融資制度を適用

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、ヤンマー株式会社を選定し、同社に対し、株式会社滋賀銀行とともに協調融資を実行しました。ディーゼルエンジン業界への制度適用第1号です。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。本制度の特徴としては、業種による環境対策の相違を反映したスクリーニングシートのバリエーション展開を図っている点があげられます。現在、製造業3種類、非製造業10種類のバリエーションが用意されていますが、本件においては、「加工組立型」バージョンを適用しています。
  3. 今回の評価対象となったヤンマー株式会社は、小型横型水冷ディーゼルエンジンを世界で初めて開発するなど、高い技術力を誇る大手ディーゼルエンジンメーカーです(創業:明治45年)。同社は、環境保全に寄与する製品の研究開発と環境負荷の低い生産活動の両立を定めた「ヤンマー地球環境憲章」を制定していますが、今回の評価でもこれを裏付けるように、経営、事業、パフォーマンスの3要素全てに亘って高いレベルでバランスの取れた環境経営を展開しているという結果になりました。特に、世界各国の環境基準を上回る低環境負荷、高効率のディーゼルエンジンの研究開発に取り組んでいること、水資源の効率利用に努め、80%を超える循環利用率を達成していること、製品製造過程で発生する廃棄物の再資源化に積極的に取り組んでいること、などの点が高い評価を受けました。今後、NOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)の排出に関し一層の規制強化がなされる見通しであり、これらの規制に対応したディーゼルエンジンの研究開発・生産活動を通じて、同社の環境配慮型経営の更なる高度化が期待されるところです。
  4. 株式会社滋賀銀行は、国内の民間銀行としては初めて国連環境計画(UNEP)が提唱する「UNEP金融機関声明」に署名するなど、国内民間銀行の中でも環境保全活動に関するトップランナーとしての地位を確固たるものとしております。当行と滋賀銀行は、これまで環境問題に果たす地域金融機関の役割について互いに協力して取り組んでおり、今回の融資についても「地域密着型金融の機能強化」の観点から実現したものといえます。
  5. 当行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで多様な企業の評価をしており、37件(本件を含む)の融資(保証)を実行しています。業種構成も、本件に代表される加工組立型の製造業を始め、小売業やリース業など非製造業へも一層の広がりをみせています。今後も、地域の企業が環境配慮型経営を進められるよう支援して参るとともに、「地域密着型金融の機能強化」に資する取り組みについて、地域金融機関と協調していく所存です。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 中堅企業等については、環境パフォーマンス項目については未達でも、契約において今後の改善を約するなど、環境経営の推進に向けた強い意欲が認められる場合には特別に加点する(エンゲージメント)などの仕組みを組み込んでいます。
  4. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に127の設問を設定しており、通常項目が103、加点項目が24の構成です。このうち、加点項目は際立って優れた企業を念頭に設定された設問です。このように、企業の取組みを包括的に評価できることが可能になっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点は、250点満点ですが、このうち通常項目が200点、加点項目が50点満点です。
  3. この250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で110点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で35点以上)の得点を条件としています。
  4. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評 価 得   点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利III
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利II
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(110~139点)
政策金利I
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(110点未満)
対象外

注) (  )内は中堅企業等

以上