日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年9月20日
  • 日本政策投資銀行

富山県企業(株式会社ユニゾーン)に対する
「環境配慮型経営促進事業」制度を活用した
私募債発行支援(エコ・スピリッツ)について

  1. 日本政策投資銀行は、このたび「環境配慮型経営促進事業」制度(以下「本制度」)の適用対象として、株式会社ユニゾーン(本社:富山県富山市)を選定し、同社の発行する私募債に対して100%の保証を付与致しました。
  2. 本制度は、日本政策投資銀行が開発したスクリーニングシステム(格付システム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利(保証料)を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資・保証制度です。本件のような、地域の非上場会社等を含む幅広い企業の取組みも適切に評価できることは、その大きな特徴の一つです。
  3. 日本政策投資銀行と株式会社北陸銀行は、平成12年12月に業務協力協定を締結しておりますが、今回は、株式会社ユニゾーンとの取引関係の深い同行が財務代理人を務めております。本制度を活用して私募債発行支援を行うのは、同行との間では初の取り組みとなります。
  4. 富山県は、良質かつ豊富な水資源等を背景に、第2次産業、とりわけ金属製品工業が従来から盛んであることに加え、電気機械工業も主要産業としてウェイトを高めている地域で、これら産業に関わる部材の表面処理加工を担うめっき事業も主力地場産業の1つとなっています。株式会社ユニゾーンは、創業 50周年を迎えためっき事業者であり、「かけがえのない地球、未来に残そうみんなの手で」を環境方針に掲げ、地域の自然環境の恩恵を享受する側として、平成13年のISO14001取得を始め、水処理や環境対応のめっき技術の開発の面で、積極的な環境対策を行ってきました。同社では、平成17年3月に発行した私募債(株式会社北陸銀行保証)とあわせ、本制度による調達資金を環境対応型のめっきラインへの更新等、さらなる環境関連活動に充てることしています。今後、同社による本制度を利用した先進的な取り組みが、地場産業であるめっき業、ひいては第2次産業における環境対応の高度化に寄与していくことが期待されます。
  5. 日本政策投資銀行では、大手から中堅クラスに至るまで様々な業種・規模の企業を評価対象として環境スクリーニングを実施しており、また、本制度を利用して私募債発行の協調支援を行う地域金融機関も広がりを見せております。今後も、地域の各金融機関との連携・協力を図りつつ、本制度の浸透に利用を通じた、企業の環境配慮型経営の浸透に貢献して参りたいと考えております。

≪補足資料≫

【概要】

日本政策投資銀行(北陸支店)は、このたび「環境配慮型経営促進事業」の対象として、株式会社ユニゾーン(本社:富山県富山市)を選定し、同社の発行する私募債に対して100%の保証を付与した。
リレーションシップバンキング機能強化の一環として、平成12年12月に日本政策投資銀行と株式会社北陸銀行は業務協力協定を締結しているが、今回は株式会社ユニゾーンとの取引関係の深い同行が財務代理人を務めている。
日本政策投資銀行は、本制度について、従来の協調融資に加え、今後は本件のような私募債保証を活用することで地域の金融機関とも連携・協力しながら、企業の環境に配慮した取組みを支援することにより環境保全を図るとともに、環境配慮型の産業基盤整備を目指したいと考えている。

【ポイント】

  • 日本政策投資銀行が平成16年度に新設した「環境配慮型経営促進事業」制度に基づく、私募債保証。
  • 日本政策投資銀行は、株式会社北陸銀行との間で、全国の民間金融機関に先駆け、平成12年12月に業務協力協定を締結し、地域連携を深めてきたところ。既にサンダーバード・スキーム(平成15年11月他)等で、地場企業における資金調達手法の高度化に向けた取り組み実績を重ねてきたが、今般、環境配慮型経営促進事業を適用した私募債発行支援による連携をも行うことで、一層の連携進展が期待される。
  • 環境配慮型経営を行っている企業であれば、あらゆる地域、様々な規模の事業・業種に対応でき、また私募債を活用することで地域の金融機関が参画しやすくなっていることから、リレーションシップバンキング機能強化の観点からも、汎用性が高いスキームであり、全国各地においても同様の取り組みが検討されている。

【環境配慮型経営促進事業とは】

  • 環境配慮型経営促進事業は、日本政策投資銀行が開発したスクリーニングシステム。
  • スクリーニング項目は、環境省の「環境パフォーマンスガイドライン」に準拠すると共に、各業種毎に個別のスクリーニング項目を整備しているため、企業所在地(大都市/地域)、規模(上場/非上場等)や業種に関わらず、幅広い企業の環境保全活動に対して適切に評価できることは、本制度の大きな特徴の一つ。
  • 日本政策投資銀行では、今後とも本件のような私募債保証をも活用して、地域の金融機関とも連携・協力しながら、本制度の浸透を通じた環境配慮型経営の全国展開を進めたいと考えている。

【株式会社ユニゾーンについて】

  • 株式会社ユニゾーンは、昭和30年創業の有力めっき事業者であり、北陸地域に生産拠点を置く自動車部品、電子部品、機械部品及び建材部品の製造業者からの表面処理加工を受託している。当社は「めっきのデパート」を標榜し、北陸地区をはじめ、全国で400社を超える取引先から寄せられる大小様々な量の、多種多様な発注に対応できる体制を整えている。
  • 業種特性上、とりわけ高度な環境保全への配慮が求められるめっき業にあって、当社では、自社の事業活動が、同県の有する良好な自然環境に依拠しているとの認識の下、水処理はもちろんのこと、環境配慮型の経営に熱心に取り組んできた。
  • 当社では、事業活動、製品またはサービスにおいて、環境に影響を与える側面のうち管理可能なものを独自の「環境影響評価規定」に基づき定性評価し、有意と判定した環境影響要素を環境目的・目標に反映させている点に特徴がある。
  • 特に、平成13年2月の本社工場におけるISO14001認証取得に伴い、社長をトップとする環境マネジメントシステム(EMS)が強化されたことで、当規定に基づく環境影響評価体制が確立された結果、化学物質の排出量・移動量の大幅削減等を達成した点は高く評価できる。