日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成17年10月28日
  • 日本政策投資銀行

ケーブルテレビの現状(16年度決算版)
日本政策投資銀行、全取引先ケーブルテレビ(CATV)200社弱の
16年度経営データを分析
~放送事業の堅調さに加え、
インターネット事業が引き続き好調、増収増益を継続。
デジタル化投資負担は大きく、
広域連携・合併等によるコスト削減や規模の利益拡大が今後の課題~

<調査の目的>

  • 我が国総世帯数50百万のうち現在26百万世帯(再送信含む)がケーブルテレビ経由でTVを視聴、普及率は52%に達するなど市民の身近な情報インフラとして浸透。
  • 日本政策投資銀行は昭和59年から現在まで約220社のケーブルテレビ事業者に融資を実行、16年度末現在の取引先社数は184社となり営利目的の事業者の約6割程度に相当している。
  • 本報告書では、日本政策投資銀行の全取引先事業者の経営データを統計処理、ケーブルテレビ業界全体の最新の経営状況を分析するとともに、業界の課題及び克服に向けて今後事業者が取り組むべき方向について提言した。

    (注:守秘義務上の問題から個々の事業者名は本報告書には一切記載されていない)

<報告書の内容>

  1. ケーブルテレビ事業者は16年度中に加入世帯増加とともに、通信事業が引き続き拡大。営業収入全体に占める通信事業収入の比率は26.5%にまで上昇、累積損失を解消した本行取引先事業者の割合が平成15年度の37%から平成16年度には42%にまで改善し、通信事業の拡大が事業者の収支改善に大きく寄与する結果となった。だが通信事業も都市部を中心にADSL・FTTH等との競合が激化、顧客単価の減少が続いており、パッケージサービスの導入やコミュニティチャンネルの充実・きめ細かいユーザーサポートによる地元密着体制整備等の工夫が必要。
  2. デジタル化の動向については、投資が完了したと思われる事業者が過半を占めた。地上波デジタル放送が先行開始している東名阪地区ではSTB(セットトップボックス)の設置率が高くなっており、末端ユーザーのデジタル化も軌道に乗りつつあると考えられる。これからデジタル化対応を行う事業者は、東名阪地区の動向を参考に自社エリアの視聴者をどのようにデジタル放送へ誘導するかの決断を求められる。
  3. ケーブルテレビの事業環境は、デジタル化投資負担や衛星放送、ADSL・FTTHとの競合など厳しさを増しつつある。対応策として広域連携・合併等によって、デジタル化投資負担の費用分担や資材・番組の共同購入を通じた規模の利益拡大を実現することが収支向上・デジタル化促進の両面で有効だと思われるが、その一方で地域密着を深めることで競争力を維持していく動きもある。各事業者はそれぞれの事業環境に応じた経営の方向性を自ら確立することが必要。
【お問い合せ先】
日本政策投資銀行 情報通信部
TEL:03-3244-1660