日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年4月13日
  • 日本政策投資銀行

日本通運(株)に対し環境融資を実施
物流業における環境への取組が本格化

  1. 日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、平成18年4月10日に日本通運(株)(代表取締役:川合正矩)に対し、京都議定書目標達成計画促進事業および環境配慮型経営促進事業の2つの環境融資を実施することを決定しました。
  2. 京都議定書目標達成計画促進事業は、平成17年2月に地球温暖化防止にかかる京都議定書が発効したことを踏まえ、我が国の国際公約である温室効果ガス排出削減(原則平成2年度比▲6%減以下に、平成20年から平成24年までの平均排出量を削減)達成を後押しするため、18年度より新たに開始した融資制度です。6つの対象事業の一つに省CO2物流体系形成事業を上げ、さらに温室効果ガス削減効果が高い(▲8%以上)事業にはより低い優遇金利を適用するものです。日本通運向融資は、当融資制度適用の1号案件となります。日本通運は、従前より省CO2物流の構築に積極的で、今回は同効果が極めて高いモーダルシフト(自動車貨物運送を鉄道や内航海運を活用した複合輸送に転換していくもの)を対象に融資します。一般に、鉄道はトラック運送の1/8、内航海運は同1/4のCO2排出量とされており、融資対象となった日本通運のモーダルシフト事業はトラック運送に比較してCO2 量を72%削減すると見込まれます。
  3. 環境配慮型経営促進事業は、政策銀が独自に開発したスコアリングシートに従い、設備投資の内容に留まらず管理体制など企業の環境への取組を多面的に評価、その格付ランクに従い低利融資を行うものです。また、融資後もモニタリングを行い、評価対象となった企業による環境への取組の継続を図っていくことが特徴です。同格付においては、日本通運が行う天然ガス車・ハイブリッド車・液化石油ガス車など環境低負荷車両の導入や梱包資材のリサイクルに加え、電子タコメーターの導入、ドライバー向けエコドライブ研修など、ハード面に留まらずソフト面での積極的な環境への取組を高く評価しました。結果、環境格付において、「環境への配慮に対する取組みが特に先進的」と最高ランクに位置づけられ、本件融資となりました。
  4. 平成15年における我が国運輸部門からのCO2排出量は、自家用乗用車の増加を主因に平成2年比+19.8%増となっており、今後、同部門でのCO2削減が急務となっています。政府においては、自動車グリーン化税制を導入したほか、物流産業に対してはグリーン物流パートナーシップ会議の開催およびモデル事業への補助金交付など、各種政策を推し進めています。また、平成18年4月1日より改正省エネ法が施行され、初めて運輸分野も省エネ計画の策定やエネルギー消費量の報告が求められようになりました。
  5. そのような中、物流業のリーディングカンパニーである日本通運が適切な環境マネジメントや温暖化対策推進により、業界全体のモデルとなることは、社会的意義が極めて大きいと弊行は評価しています。今後は荷主企業も環境への取り組み度合いを物流事業者選定基準の一つとし、物流事業者にとってもその取り組みが付加価値の源泉となる環境配慮型経済社会の構築が期待されますが、弊行としてもその促進を図っていきたいと考えています。