日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年4月21日
  • 日本政策投資銀行

井関農機(株)に対し環境格付けに基づく融資を実施
~2度目の実施で、初のランクアップを達成~

  1. 日本政策投資銀行は平成18年3月、「環境配慮型経営促進事業」融資制度の対象として、井関農機(株)(本社:愛媛県松山市)を選定し、融資を実行しました。
  2. 環境配慮型経営促進事業は、当行が開発したスクリーニングシステム(格付けシステム)により企業の環境経営度を評点化して優れた企業を選定し、得点に応じて3段階の適用金利を設定するという、「環境格付け」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度です。
  3. 今回の評価対象となった井関農機(株)は、田植機の代名詞ともなった「さなえ」や稲に適した日本独自のコンバイン(自脱型)を最初に開発するなど高い技術力を誇る農業機械メーカーの老舗です(創立:大正15年)。

    当社は、農業と農業機械を基軸とした経営を掲げるコンセプト「エコビジョン:グリーンサークル」を掲げており、平成 17年3月に上記融資制度の1度目の適用を受けました。当時においても、経営、事業、パフォーマンスの3要素全てに亘ってバランスの取れた環境経営を展開しており、特に、全製品に環境適合設計を導入し、製品のライフサイクルを通じた環境負荷低減に取り組んでいること、製品輸送段階で使用する木枠や段ボールを繰り返し利用可能な鉄枠に切り替える等、廃棄物削減に努めていることなどを、当行は高く評価しました。また、地域の中小企業に対して環境経営に関する説明会を開催するなど地域社会が求める情報の積極的な開示を進め、地域社会に根ざした活動を進めていることも当社の特徴です。

    さらにその後の1年間で、当社は環境経営を推進する環境委員会(議長:中野弘之社長)を、全取締役をメンバーとする体制に変更し、環境に対する意思決定の迅速化と経営責任の明確化を図りました。そして、その指揮の下で、前回評価時に当行が課題として指摘した資源投入量・排出量の把握や工場内の土壌・地下水汚染調査に取り組むと共に、未導入であった環境会計の整備を行うなどの諸施策を推進し、販社を含めたグループ全体で環境経営の改善に努めてきた結果、今回の評価において、前回をさらに上回る「環境への配慮に対する取組みが特に先進的」という、最高ランクの格付を取得することとなりました。このようなランクアップは、本制度の開始以来初めてのことです。

    農業機械メーカーたる当社の取り組みは、農業生産者への波及を通し、わが国農業の環境パフォーマンス改善に繋がるものであり、今後、より一層の環境経営の高度化が期待されるところです。

  4. 当行では、現在本制度について大手から中堅クラスに至るまで多様な企業の評価を実施しており、64件(本件を含む)の融資(及び保証)を実行しています。業種構成も、本件に代表される加工組立型の製造業を始め、小売業やリース業など非製造業へも一層の広がりをみせています。今後も、多様な業種特性を踏まえて、適切な環境配慮型経営の評価に努めて参ります。

(参考)制度の仕組み

(1)特色

  1. 従来のような「エンド・オブ・パイプ」(環境汚染物質の排出時における適正処理)型の対応とは異なり、環境配慮型経営に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 製造業・非製造業のさまざまな業種に対応できるよう、いくつかの業種に対応した質問票(製造業は素材型・加工組立型、非製造業は運輸交通、卸小売、建設、エネルギーなど)を用意しています。
  3. 「経営全般」、「事業活動」、「環境パフォーマンス」の3つの事項を対象に約120の設問を設定しており、企業の取組みを包括的に評価できることが可能になっています。

(2)評価の方法

  1. 環境格付けの手法に従い、取組みが進んでいればより有利な条件での調達が可能になるような設計となっています。
  2. 配点250点満点に対し、対象として適格と認定するラインは120点以上(中堅企業等で80点以上)です。また、環境負荷低減に関して最低限の定量的な効果を求めるという観点から、パフォーマンス関連事項で40点以上(中堅企業等で25点以上)の得点を条件としています。
  3. 対象として適格となる得点を得た企業は、さらにその水準によって次の3つのグループに分類され、それぞれ異なった金利水準が適用されます。
評価 得点 適用金利等
環境への配慮に対する取り組みが特に先進的と認められる企業 156点以上 政策金利 II
環境への配慮に対する取り組みが先進的と認められる企業 140~155点 政策金利 I
環境への配慮に対する取り組みが十分と認められる企業 120~139点
(80~139点)
一般金利
環境への配慮に対する取り組みが上記に該当しない企業 120点未満
(80点未満)
対象外

注) ( )内は中堅企業等

以上