日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年5月18日
  • 日本政策投資銀行

アニメクリエーター育成事業に対する出資を決定

  1. 日本政策投資銀行は、この度、アニメイノベーション東京((有)アニメイノベーション東京が運営するアニメーション制作支援事業)に対して出資を実行致しました。本件は、「日本的な高品質アニメ作品の効率的制作を実現し世界の市場で優位性を築く」という理念に基づき、将来可能性のある新人作家及び中小制作会社の活躍を支援するため、匿名組合出資による資金調達を行うコンテンツファイナンススキームであり、当該スキームの意義を高く評価するところであります。
  2. 当事業は(株)シンク(本社:東京都港区、代表取締役CEO 森祐治)考案の企画で、アニメーション産業を地場産業として本格的に振興する方策を打ち出した東京都が募集したアニメ・映像産業支援企画に選出されたものです。個人や中小制作会社の優れたオリジナル企画に対して、パイロット版映像(30分程度のショートフィルム)制作を行うための資金の提供と作品のハンズオン・プロデュースを実施します。パイロット版映像制作支援事業に特化した事業スキームは日本では初めてです。パイロット版映像を基とした大規模作品の作品化権売却やパイロット版映像自体の販売を通じて収益の獲得を図ります。
  3. 本件では従前のコンテンツ制作ファイナンス手法(制作委員会方式)における「才能ある中小制作会社の下請業者化」等の問題を克服するため、LLPを利用したスキームを構築しています。これにより、出資者全員が有限責任となるため、中小制作会社の参加も容易になり、また出資比率でなく貢献度に応じた損益の分配が可能で、高い透明性を保ちつつ、関係者の収益性向上に寄与すると考えられます。また、中小制作会社の育成を支援し、日本製コンテンツの質向上、グローバル消費市場における競争優位性の構築に資するものであります。
  4. 本件は、国際競争に耐えうる品質の作品を、世界マーケットを視野に入れながら継続的に製作していくスキームとして、本行は以下の観点から支援を実施致しました。
    1. コンテンツの産業自体が、今後の成長性及び各種政府支援状況等から有力な産業分野としての位置づけが高く、支援の政策的な意義が高い中、このようなファイナンススキームを用いた資金支援の多様化は、斯業の課題克服に寄与し、中小制作会社の育成に繋がると考えられること。
    2. 本件はパイロットアニメというアニメコンテンツにおける新しい市場の創出・活性化に資するもので、また地域経済の成長を後押しするものと認められること。

    【スキーム図】

  5. 日本政策投資銀行では、新産業創出・活性化の一環としてコンテンツ産業の支援につき積極的な支援を実施してまいりましたが、引き続き日本が高い競争力を誇る映像分野における事業の支援及びファイナンススキームの構築などに注力していく考えです。