日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年6月1日
  • 日本政策投資銀行

渡辺地所(株)に対し「防災格付」融資を実行
~九州地区第1号案件~

  1. 日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、今年度から創設された「防災対応促進事業」(防災格付)融資制度の九州地区第一号として、福岡県福岡市に本拠を置く不動産会社「紙与産業グループ」の渡辺地所(株)(社長:渡邉浩志)に融資を実行しました。同制度の適用案件としては全国2番目であり、不動産業としては全国初となります。
  2. 「防災対応促進事業」融資制度は、中央防災会議「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」をベースにした独自のスクリーニングシステム(格付システム)により企業の防災に対する取組みを評価し、優れた企業を選定、当該企業の防災対策事業に優遇金利で融資を行うという「防災格付」の専門手法を導入した新しい融資制度です。
  3. 紙与産業グループは、福岡市中心部に計12棟のオフィス・駐車場ビルを保有する不動産会社であり、渡辺地所(株) はその一翼としてオフィスビル等の管理・運営を担っています。今回の評価において紙与産業グループは、テナントの事業継続や、従業員・外来者等の安全確保等の観点から、高いレベルでの取組みがなされているという結果を得ました。紙与産業グループでは、昨年3月に発生した福岡県西方沖地震の経験も踏まえ、地域の不動産事業者のリーダー的存在として、グループが一丸となって防災体制を強化しており、経営全般にわたり高い防災意識が保たれています。具体的には、免震構造のビルの導入、ビルの耐震診断の実施、防潮板の設置等の風水害対策の整備、地震保険への加入、キャビネットの固定をはじめとする日頃の地震対策等、積極的な取組みが高く評価されました。
  4. 今般の融資は、JR博多駅前において渡辺地所(株)が明治安田生命保険相互会社と共同で、新たに建設する免震オフィスビル「(仮称)博多駅前共同ビル(来年8月完成予定)」を対象に実施するものです。紙与産業グループでは、来年3月に西鉄薬院駅前にも免震オフィスビル開業を予定するなど、賃貸ビルとしては導入例の少ない免震構造を導入しており、業界内の先駆的なモデルとなることが期待されます。
  5. 日本政策投資銀行では、今後とも幅広い業種・地域の企業への「防災対応促進事業」融資制度の活用を通じ、企業の防災への取組みを積極的に支援・推進して参ります。

(参考)制度の仕組み

  1. 事業継続計画(BCP)の国際規格化が議論される中、災害大国である我が国では自然災害を念頭においた企業のリスクマネジメント体制の構築が課題となっています。本制度は、災害に強い経済社会を構築する目的から、企業の事業継続の社会的価値を評価し、支援する融資制度です。従来のような個々の防災プロジェクトではなく、企業の防災対策に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 評価にあたっては、中央防災会議(内閣府)「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」をベースに当行独自の設問を加えた評価表を用意しています。評価においては、 12分野(下表参照)、64項目にわたり取組状況を確認し、必須項目等のハードルを満たした上で、分野別、金利段階(ステージ)別に一定の充足度を求める「ステップアップ方式」により防災体制の実効性を評価することが可能となっています。
  3. また、取組評価の過程で企業に対して防災への取組みについて助言を行う機能を有し、今後予定する取組みを含めた評価の仕組みとも相まって、企業の防災力向上を促進します。
  4. 本制度は、防災評価に基づき優遇金利による融資を行う世界初の防災格付融資であり、業種別、企業規模別など各層の防災先進企業を対象に、防災への取組みを支援して参ります。

以上