日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年7月26日

(株)オークワに対し、「防災格付」融資を実行
~関西第1号案件、最上位ランク評価~

  1. 日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、今年度創設された「防災対応促進事業」(防災格付)融資制度の関西地域第1号として、和歌山市に本拠を置く(株)オークワ(社長:大桑啓嗣)に融資を実行しました。同制度の適用案件としては全国3番目であり、小売業としては全国初となります。
  2. 「防災対応促進事業」融資制度は、中央防災会議「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」をベースに独自の評価システムを構築し、防災に対する取り組みの優れた企業を評価・選定した上、当該企業の防災対策事業に優遇金利で融資を行うという「防災格付」の手法を導入した世界初の融資制度です。
  3. (株)オークワは、和歌山をはじめとする1府3県に、大型ショッピングセンターを含む約130店舗を展開する有力リージョナルチェーンです。(株)オークワでは、従来から来客の安全を最優先に防災体制を整備してきましたが、今世紀前半にも発生のおそれがある東南海・南海地震に備えた対策プロジェクトチームを発足させ、地震、津波に対する店舗の安全性確保、地震保険への加入等の取り組みを進めています。さらに、1府3県との間で無償供与を含む救助物資の提供に関する協定を締結するほか、近年の地震災害で重要性が注目された復旧期の食料等の生活必需品の安定供給の面でも、仕入から配送、店舗販売に至る営業継続・早期復旧体制を強化してきています。

    今回の融資にあたっては、安全・安心な暮らしの実現を目標とする一連の取り組みが、現在計画中の対策を含めて高く評価され、評価ランク中最上位となる「防災への取り組みが特に優れた企業」として、最優遇金利の適用を受けました。

  4. 今般の融資は、串本店における津波被害も想定した耐震補強工事の実施、システム回線の二重化等の防災対応事業を対象に実施するものです。従来からの取り組みと合わせて、災害時の来客の安全確保や、営業の継続による地域住民への生活必需品の安定供給等の防災体制が一層促進されることが期待されます。
  5. 日本政策投資銀行では、今後とも幅広い業種・地域の企業への「防災対応促進事業」融資制度の活用を通じ、企業の防災への取組みを積極的に支援・推進して参ります。

(参考)制度の仕組み

  1. 事業継続計画(BCP)の国際規格化が議論される中、災害大国である我が国では自然災害を念頭においた企業のリスクマネジメント体制の構築が課題となっています。本制度は、災害に強い経済社会を構築する目的から、企業の事業継続の社会的価値を評価し、支援する融資制度です。従来のような個々の防災プロジェクトではなく、企業の防災対策に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 評価にあたっては、中央防災会議(内閣府)「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」をベースに当行独自の設問を加えた評価表を用意しました。12分野(下表参照)、64項目にわたり取組状況を確認し、必須項目等のハードルを満たした上で、分野別、金利段階(ステージ)別に一定の充足度を求める「ステップアップ方式」により防災体制の実効性を評価することが可能となっています。
  3. また、取組評価の過程で企業に対して防災対策に関する助言を行う機能を有し、今後予定する取り組みを評価に含める仕組みとも相まって、企業の防災力向上を促進します。
  4. 本制度は、防災対応評価に基づき優遇金利による融資を行う世界初の防災格付融資であり、業種別、企業規模別など各層の防災先進企業を対象に、防災への取り組みを支援して参ります。

以上