日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年8月7日
  • 日本政策投資銀行

シンコーケミカル・ターミナル(株)に対し「防災格付」融資を実行

  1. 日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、今年度創設された「防災対応促進事業」(防災格付)融資制度の兵庫県第一号(関西地域第二号)として、シンコーケミカル・ターミナル(株)(本社:兵庫県神戸市東灘区)に融資を実行しました。実際に大規模な被災経験(阪神・淡路大震災)のある企業への適用は、全国初となります。
  2. 「防災対応促進事業」融資制度は、中央防災会議「『防災に対する企業の取り組み』自己評価項目表」をベースにした独自の評価システムを構築し、防災に対する取り組みの優れた企業を評価・選定した上、当該企業の防災対策事業に優遇金利で融資を行うという「防災格付」の手法を導入した新しい融資制度です。
  3. シンコーケミカル・ターミナル(株)は昭和42年設立のタンク基地の運営会社で、神戸を中心に化学品貯蔵タンクの賃貸、保管等の事業を行っています。今回の評価においてシンコーケミカル・ターミナル(株)は、産業施設として安全経営を強化するための防災対応について、高いレベルでの取り組みがなされているという結果を得ました。シンコーケミカル・ターミナル(株)では、平成7年の阪神・淡路大震災での被災経験を踏まえ、危険物の漏洩対策等二次災害防止について初期動作等を定めた規定類を整備するなど、全社で高い防災意識が保たれています。特に安全経営の姿勢を表すものとして、法令の期限よりも前倒ししたタンクの耐震化対策、情報系のバックアップ体制整備(設備、データの二重化等)、利益保険への加入、市民救命士の資格取得を含めた教育・訓練の実施、タンクポンプの嵩上げ等の水害対策等の具体策に積極的に取り組んでいる点が高く評価されました。
  4. 今般の融資は、シンコーケミカル・ターミナル(株)の神戸、名古屋、博多各事業所における貯蔵タンク及び危険物倉庫の耐震化等の防災対応事業を対象に実施するものです。シンコーケミカル・ターミナル(株)では事業継続計画(BCP)*の策定にも業界で先行して着手しており、今回融資対象事業による施設の安全確保と併せて、一層体系的な防災体制を実現することが期待されます。

    (*)日本政策投資銀行の大企業を対象とした調査では、事業継続計画を策定済の企業は全産業で7.9%にとどまり、倉庫業を含む運輸業では5.5%とこれを下回っています。

  5. 日本政策投資銀行では、今後とも幅広い業種・地域の企業への「防災対応促進事業」融資制度の活用を通じ、企業の防災への取り組みを積極的に支援・推進して参ります。

(参考)制度の仕組み

  1. 事業継続計画(BCP)の国際規格化が議論される中、災害大国である我が国では自然災害を念頭においた企業のリスクマネジメント体制の構築が課題となっています。本制度は、災害に強い経済社会を構築する目的から、企業の事業継続の社会的価値を評価し、支援する融資制度です。従来のような個々の防災プロジェクトではなく、企業の防災対策に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 評価にあたっては、中央防災会議(内閣府)「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」をベースに当行独自の設問を加えた評価表を用意しています。評価においては、12分野(下表参照)、64項目にわたり取組状況を確認し、必須項目等のハードルを満たした上で、分野別、金利段階(ステージ)別に一定の充足度を求める「ステップアップ方式」により防災体制の実効性を評価することが可能となっています。
  3. また、取組評価の過程で企業に対して防災への取組みについて助言を行う機能を有し、今後予定する取組みを含めた評価の仕組みとも相まって、企業の防災力向上を促進します。
  4. 本制度は、防災評価に基づき優遇金利による融資を行う世界初の防災格付融資であり、業種別、企業規模別など各層の防災先進企業を対象に、防災への取組みを支援して参ります。

以上