日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年9月1日
  • 日本政策投資銀行

NECリース(株)に対し、「防災格付」融資を実行
~リース事業第1号案件~

  1. 日本政策投資銀行(総裁:小村武)は、「防災の日」である9月1日に、今年度創設された「防災対応促進事業」(防災格付)融資制度に基づき、NECリース(株)(本社:東京都港区、社長:加藤奉之)に融資を実行しました。リース事業者への同制度の適用は、全国初となります。
  2. 「防災対応促進事業」融資制度は、我が国において企業の事業継続計画(BCP)への関心が高まる中、中央防災会議「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」をベースに独自の評価システムを構築し、防災に対する取り組みの優れた企業を評価・選定した上、当該企業の防災対策事業に優遇金利で融資を行うという「防災格付」の手法を導入した世界初の融資制度です。
  3. NECリース(株)は、情報通信機器を中心に総合リース事業を展開するNEC系リース会社(東証一部上場)であり、「エコリース」を積極的に取り扱うなどCSR(企業の社会的責任)を強く意識した経営を実践していますが、近年は防災機能を有するリース物件の導入にも積極的に取り組み始めています。

    NECリース(株)では、安全衛生委員会を活用して全社的な防災体制を構築するとともに、安全衛生パトロールの実施等により防災対策の不断の見直しと役職員の防災意識の醸成等に取り組んでいます。特に、リース事業において重要な契約情報、顧客情報に関わる情報システム分野においては、データのセキュリティー対策やバックアップ対策等を含め、優れた取り組みを実施しています。また、財務面では災害時にも十分な資金を確保する対策を行っており、ファクタリング業務継続という観点からNECグループのサプライヤーへの操業資金の確保を通じて、グループ全体の防災力向上にも貢献するものと高く評価されました。

  4. 今般の融資は、災害時のライフライン(飲料水等)確保を可能にする「地下水膜ろ過システム」※など防災機能を有するリース資産取得事業を対象に実施するものです。リース取引は我が国民間設備投資の約1割を占めるなどその影響力が大きいことから、本事業を通して社会全体の防災力向上へ貢献することが期待されます。
  5. 日本政策投資銀行では、今後とも幅広い業務・地域の企業への「防災対応促進事業」融資制度の活用を通じ、企業の防災への取組みを積極的に支援・推進して参ります。

「地下水膜ろ過システム」について

  • 「地下水膜ろ過システム」は、精密膜ろ過システムを用いて地下水を飲料水に変える自家水道システムであり、自家発電装置や予備発電装置でも稼働することから、災害時のライフライン対策として注目を集めており、病院や学校等で導入されるケースも多くなっています。
  • NECリース(株)は、本分野のパイオニア企業である(株)ウエルシィと提携して「地下水膜ろ過システム」の普及を図り、顧客事業者の防災対策の高度化の支援を行っています。


(参考)制度の仕組み

  1. 事業継続計画(BCP)の国際規格化が議論される中、災害大国である我が国では自然災害を念頭においた企業のリスクマネジメント体制の構築が課題となっています。本制度は、災害に強い経済社会を構築する目的から、企業の事業継続の社会的価値を評価し、支援する融資制度です。従来のような個々の防災プロジェクトではなく、企業の防災対策に必要な事業資金全体(設備資金、非設備資金)を支援します。
  2. 評価にあたっては、中央防災会議(内閣府)「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」をベースに当行独自の設問を加えた評価表を用意しました。12分野(下表参照)、64項目にわたり取組状況を確認し、必須項目等のハードルを満たした上で、分野別、金利段階(ステージ)別に一定の充足度を求める「ステップアップ方式」により防災体制の実効性を評価することが可能となっています。
  3. また、取組評価の過程で企業に対して防災対策に関する助言を行う機能を有し、今後予定する取り組みを評価に含める仕組みとも相まって、企業の防災力向上を促進します。
  4. 本制度は、防災対応評価に基づき優遇金利による融資を行う世界初の防災格付融資であり、業種別、企業規模別など各層の防災先進企業を対象に、防災への取り組みを支援して参ります。

以上