日本政策投資銀行

  • News Release
  • 平成18年10月18日
  • 日本政策投資銀行

複数企業に対応できる震災時発動型融資予約スキームを組成

  1. 日本政策投資銀行(以下「DBJ」)、三菱UFJ信託銀行(以下「MUTB」)および日興シティグループ証券(以下「NCL」)は、大規模地震発生時に発動される融資予約(クレジットライン)の仕組み(通称、"EQ-LINE")を3社共同で組成しました。このスキームは、一定規模以上の震災発生時に企業の事業継続や災害復旧に必要な資金を融資することを震災発生前に予め契約しておくもので、企業にとっては地震保険などと組み合わせることで効率的でより確実な事業継続の対策をとることが可能となります。
  2. EQ-LINEの対象企業はDBJが選定し、地震リスク等を評価したうえで、融資発動の条件や融資後の金利などについて各企業と協議して決定いたします。今回の仕組みの特徴は、震災時融資の原資となる資金プールにMUTBの信託スキームを採用し、資金管理・運用の堅牢性を高めていること、融資実行のオペレーションの確実性を高めるため、MUTBのインフラを駆使して、複数の借入申込窓口を確保するとともに、NCLが信託財産を利用した流動性補完の役割を担っていること等にあります。また、1つの信託を利用して複数の企業への対応を可能とし、上記の仕組みを共有することで、スキーム全体での効率性を高めております。
  3. 10月17日、第一号として静岡県静岡市に本社をおく総合物流会社である鈴与株式会社と50億円のEQ-LINE 契約締結に至りました。鈴与(株)は、既に地震対策を含む基本的な事業継続計画(BCP※)を策定済であり、今般、同社の主力地域である清水港を中心とした地震への備えの一環として、本スキームを活用し、資金の流動性の強化を図るものです。
  4. わが国の主要企業の間では、防災意識の高まりから事業継続計画(BCP)を策定する企業が増えていますが、従来、財務面では地震保険以外に決め手になる有効な方策がありませんでした。EQ-LINEに対しては、東海地域のほか、首都圏、関西圏、四国、九州等の地域の企業からも期待が寄せられており、現在検討を行なっております。今後とも、3社は高度な金融ノウハウを活かした商品・サービスを通じ、わが国企業の防災への取り組みを積極的に支援し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

※BCP:Business Continuity Plan

<仕組み図>

仕組み図