運輸・交通×DBJ – 空運

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高松琴平電気鉄道(株)に対して、百十四銀行との共同アレンジによるシンジケート・ローンを組成
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地域経済に不可欠な航路を担う宮崎カーフェリー(株)の事業再生
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福岡空港コンセッション事業において、国内最大級規模のプロジェクトファイナンスを組成
※取材当時

その中長期的な課題とは?


常に一歩先を見据えた取り組みを進めていく。


空港コンセッションという取り組み。
「航空」について言えば、それぞれの地域住民にとって欠くことのできないエアライン2社のホールディングス化を支援しました。両社は、独自のブランドを有する地域に根差した航空会社として、強固な経営基盤を構築することを目指して、両社の100%株式を保有する持株会社を設立。DBJは地域の金融機関と連携し、両社が発行する優先株式の引き受けというメザニンファイナンスを通じて、地域交通を支える重要インフラである両社がコロナ禍を乗り越え、更なる成長を遂げられるように取り組みました。私自身、その担当者として事業者や金融機関など多くの関係者と議論しながら支援を進められたのは、DBJならではの役割と実感したところでもありました。事業者の方たちとのコミュニケーションを密にしながら、短期的な取り組みだけでなく、中長期的にESGの取り組みをどう進めていくべきか等、事業者の本質的なバリューアップというものを多角的観点から検討を行いました。
やはり、空港の民営化(コンセッション)というのは一つ大きな流れとして挙げられると思います。DBJが出資者として経営に関与している案件もありますが、私自身はその案件の検討段階において、ストラクチャードファイナンス部の立場から契約書や事業計画の内容を精緻にレビューする役割を担っていました。現在は企業金融第4部にて、旅客数の見立てをはじめとする各種事業計画の前提の置き方について、マクロ動向や他空港・エアラインとの整合性を考えながら、業界担当の立場で運営をサポートする役割を担っています。観光事業者や二次交通との連携、環境対策、デジタル化、外航誘致——。事業運営権を獲得するにあたり提案時に掲げた施策を、着実に実行に移していくためには、まだまだ考えなければならないことが山積みです。先ほどの「航空」の事例と同様、事業者の方たちと目線を合わせながら、私も数字面以外の部分でもしっかり貢献できるように知恵を絞っている最中です。ここで事業者目線を体得できたことはとても貴重な経験だと感じており、今後さらなる国内空港の利便性向上を図ることで、日本の航空・空港の利用促進へ繋げていきたいと考えています。


俯瞰的な視座から日本の航空業界の発展に寄与する。
冒頭でご紹介した中長期的な課題の解決に向けて、事業者と国、金融機関との橋渡し役を担いながら、業界内の連携を強化させていく必要があると考えています。たとえば、「航空」においては先ほどのSAFが最たる例なのですが、CO₂排出量を大幅に削減できる一方で、その価格は既存のジェット燃料と比較して高価となっているため、「このコストを誰がどう負担すべきか」が業界の懸案事項となっています。1社単独で解決できるような問題ではないからこそ、私たち担当者が国内の各事業者にヒアリングを重ね、またDBJの海外現地法人とも連携しながら各国の先進事例を集約する。そういった中で課題を整理し、ディスカッションのたたき台とすることで、国や事業者と議論をしていきたいと考えています。こうした取り組みを重ねていかない限りは、業界の課題解決も進まないだろうと理解しています。
同様に「空港」においては、「国際的な競争力を高めるにはどうしたらよいか」が、業界の共通課題となっています。ここについても海外の知見を取り入れる余地があるのではないかと思います。

