英ソーシャル・インパクト・ファンドへの出資および英Bridges Fund Management Limitedとの業務協力合意書締結のお知らせ~社会課題解決に向けた新たな官民連携プロジェクトを金融面でサポート~

 株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は、英Bridges Fund Management Limited※1(CEO:Philip NewboroughおよびMichele Giddens、以下「Bridges」という。)が組成するソーシャル・インパクト・ボンド※2(以下「SIB」という。)を対象としたファンドに対する出資契約を締結しました。海外のSIBファンドへの資金提供は、本邦金融機関で初の試みとなります。
 また、同出資に伴い、DBJはBridgesと戦略的パートナーシップ関係を構築する業務協力合意書を締結いたしました。今後、DBJとBridgesは相互に連携しつつ、欧州および日本における社会課題解決に向けた取組を金融面でサポートします。

 SIBとは、国や自治体が抱える社会課題に対し、民間企業のノウハウと民間資金を活用した新しいソリューションを実施することで、社会問題解決を図る新たな官民連携の仕組みです。SIB発祥の国である英国では、この仕組みを活用して、将来的な医療費削減に向けた成人の生活習慣改善、ニートの若者に対するメンタルケア・就労支援、ホームレスに対する就労支援、再犯防止プログラムの提供等、社会問題の解決および将来発生する行政コストの削減に向けた様々な予防的プログラムが実施されてきました。
 日本においては、少子高齢化等に伴い、国や自治体が抱える社会保障費の負担が増加傾向にあることを背景に、健康・医療分野を中心にSIBの組成が進んでいるところ、今年度閣議決定された「成長戦略実行計画2019」※3においても普及促進が掲げられており、今後も取組の増加が見込まれています。

 DBJは、これまで日本市場に適したSIBの確立に向けて国内外の市場調査、SIBの組成検討を進めてきました。本出資は、英国における調査を通じて、英国において40以上もの案件を手掛けてきたBridgesと深いリレーションを構築するなかで、Bridgesが組成するBridges Social Outcomes Fund IIに対する出資契約を締結したものです。

 世界で最もSIB案件の組成数が多い英国において、投資家たるBridgesは、資金の提供だけでなく、案件の組成サポートや、成果指標達成に向けたプロジェクト・マネジメントを主導的に担っています。そのノウハウは、日本のSIBに於いて示唆に富む新規性・先見性が認められるものであり、DBJは本件投資を通じて斯かる先進的なノウハウを獲得することを企図しております。

 また、本出資に伴い、DBJとBridgesは、ヨーロッパおよびアジアにおけるSIBを通じた社会課題解決プロジェクト推進を目的とし、戦略的パートナーシップ関係を構築する旨の合意書を締結致しました。今後、DBJは海外先行事例の調査・研究を進めるとともに、日本の市場環境に適したスキームの開発、個別プロジェクトに対するファイナンスを検討してまいります。

 DBJは、企業理念「金融力で未来をデザインします~金融フロンティアの弛まぬ開拓を通じて、お客様及び社会の課題を解決し、日本と世界の持続的発展を実現します~」に基づき、地域が抱える社会課題の解決をファイナンス面からサポートしてまいります。

※1 Bridges Fund Management Limited:2002年設立。経済的リターンと社会的インパクト創出の両立を目指す「社会的インパクト投資」に特化した英国最大のファンド運用会社。ソーシャル・インパクト・ボンド等、持続可能な成長と社会インパクトを生み出すプロジェクトを対象に、投資、ファンド運営、コンサルティング業務を実施。

※2 ソーシャル・インパクト・ボンド:事業者による予防的プログラムの実施につき、投資家が事業者に対し事業資金を提供し、事業の成果に応じて自治体が資金提供者に対し成果報酬を支払うという仕組み。公共事業における契約形態で、業務委託時ではなく事業の成果達成時に行政からの支払いが発生し、事業の成果達成度合いに連動して委託料が変動する業務委託契約である「成果連動型委託契約」と民間資金の活用を組み合わせた官民連携手法の一つとして位置付けられている。
 
※3 成長戦略実行計画2019:2019年6月に閣議決定。SIBを含む成果連動型委託契約について、内閣府を中心に、成果指標、評価方法、支払条件等に関するガイドラインの整備手順、成果指標評価の前提となるエビデンス構築のための進め方等について議論を始める旨言及されている。

【お問い合わせ先】
   ストラクチャードファイナンス部  電話番号 03-3244-1590
   業務企画部 イノベーション推進室 電話番号 03-6311-5048

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