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DBJデジタルソリューションズ株式会社

DBJデジタルソリューションズ株式会社は、1988年、DBJのシステム管理を担う会社として設立された。以来、DBJおよびDBJグループ企業のみならず、「お客様と共にしっかり立ち、一貫性をもってやり遂げる」という企業理念のもと、幅広い顧客に向けて、ITコンサルティング等の経営課題解決から、システム導入・運用・ITインフラ整備に至るまで、ITに関するトータルソリューションを提供している。今回、三興商事株式会社が抱えるITに関する課題解決の取り組みと、日本海曳船株式会社の業務改善において提供したソリューションについて紹介する。

[Case Study] 日本海曳船株式会社

「EUCアドバイザリーサービス」の提供で勤怠管理、
収益管理の効率化を実現

DBJデジタルソリューションズ株式会社
ITアドバイザリー第1部 システムエンジニア
小林 丈二

港湾内において、各種船舶が安全・確実に入出港できるようにサポートし、またLNG(液化天然ガス)積載船のエスコートや警戒作業など、港湾の安全を守る役割を担うのが曳船業務だ。日本海曳船株式会社は、新潟港と直江津港に管理曳船2隻を含む11隻を配備し、日本海側の重要拠点港、さらにLNG受け入れ基地を有するエネルギー港の発展を支えている。DBJの取引先でもあり、2021年、当時のDBJデジタルソリューションズ社長が同社を訪問した際、社内の勤怠管理業務における業務改善の相談を受けたのがプロジェクトの始まりだった。このプロジェクトに参加したメンバーの一人が、ITアドバイザリー第1部のシステムエンジニア・小林丈二である。
「課題は山積していました。勤怠管理はほぼExcelにより手作業で作成しているため、日報から予算の作成まで膨大な時間を要します。手作業によるオペレーションミスのリスクもありました。また各種データが一元管理できていないため、運用・管理のためのExcel数が多く、各種分析等に相当な負荷がかかります。さらに大きな問題は、勤怠管理の対象が船員であり特殊な勤務体制であること。そのため一般的な勤務管理のパッケージでの対応が難しいことでした。そこで提案したのが、弊社が得意とするEUCアドバイザリーサービスです」

EUCとはEnd User Computingのことだ。現場担当者が自主的に自分たちの業務に役立つツールを企画・開発・運用する。それによって業務改善に対する意識の向上、さらに会社全体の業務改革を実現するボトムアップ型の改善プロセスである。小林らは、ITの専門家として、EUC統制の仕組みを構築し、EUCシステムの開発・運用をトータルにサポートした。小林らが目指したのは情報の一元化であり作業の標準化、そして作業効率化を実現する仕組みの構築だった。システム導入に向け、業務整理から着手。一連の作業を洗い出し簡略化・統合できる点がないか検討した。その後、作業手順や記載ルール、帳票様式等のルール決めを行い、実際の開発フェーズでは現場担当者が参加した。
「実際にサンプルツールで動きを確認しつつ、担当者に実イメージを持ってもらうことを心がけました。さらに直接、作業担当者の作業を見せていただき、着実に要望を拾い上げていきました。EUCサービスはお客様に寄り添うことが最も重要なポイントであり、迅速に現場でニーズに応えていくことが、不可欠だと思っています」

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2023年にシステムはリリースされ、大きな効果が生まれた。業務や体制変更に合わせて自律的なシステム運用・改修が行われるようになった。また、作業時間が大幅に短縮し、新たに生まれた時間を創造的な業務に費やせるようになった。さらに実際の効率化を目の当たりにしたことで、社員の業務改善への意識が飛躍的に高まった。その後、収益管理システムにおいてもEUCの手法を適用してこれを改善、勤怠管理システムとの情報連携を行うことで、業務の高度化も実現した。
「EUCサービスは、単にシステムの刷新による業務改善ではありません。私たちに求められるのはボトムアップでその現場に徹底して寄り添うことであり、業務改善を切り口として、会社全体の組織力向上を支援していきたいと考えています」

システム導入イメージ

この記事は季刊DBJ No.55に掲載されています

季刊DBJ No.55