その他の刊行物

東日本大震災復興への提言―持続可能な経済社会の構築―

伊藤滋・奥野正寛・大西隆・花崎正晴［編］
2011 / 7　東京大学出版会 / 1800円＋税
ISBN 978-4-13-043036-4

東日本大震災は、日本の経済社会が極めて脆弱な基盤のうえに成り立っていたことを白日のもとにさらした。価値観の根幹が揺らぐほどの衝撃のなか、われわれは何をなすべきなのか。経済学、都市論、産業論などの分野より、第一線の学識者50名がおくる、震災からの復興に向けた提言集。

はしがき
序論：東日本大震災　復興への提言とその論点	編者

第I部　地域の再生
地域資源経営の視点による東北の再生に向けて ――社会的共通資本としてのコミュニティの再興	風見正三
震災復興と今後の日本の戦略	藻谷浩介
被災者・被災地主導による自立復興と全国からの連帯支援	大西隆
大震災後に感じたいくつかの感想と若干の提言	間宮陽介
復興に環境まちづくりの構想を――社会的共通資本によるアプローチ	内山勝久
すみやかな復興のためにこそ、ていねいな対話が不可欠	玄田有史・大堀研
ペアリング支援――いますぐにできること	石川幹子
復興対策をテコに東北州づくりへ	西達男
被災地への持続的な支援を	細田裕子
望まれる新たな社会システムのデザインと公共インフラの整備	宮川公男
資本蓄積に向けた決意	宮川大介
復興に強い日本の「現場力」を活かす政策を	藤本隆宏
東日本大震災復興計画の覚書	伊藤滋

第II部　日本経済の課題
震災後10年のマクロ経済政策の方針	大瀧雅之
震災と長期経済成長――「創造的破壊」につなげていくために	塩路悦朗
「想定外」を「想定内」に――危機感こそがイノベーションの源泉	宮川努
節約と自粛	小川英治
リスク管理政策と電力不足	金本良嗣
電力使用料金単価の引き上げ提案 ――国民感情に配慮したキャッシュバックと見える化	川西諭
供給制約下の日本経済――電力不足をどのように乗り越えるか？	中里透
再び危機モードに入った企業金融の今後	植杉威一郎
復興としての企業再建と金融システムの役割	鯉渕賢
復興にマイクロファイナンスを活用せよ	花崎正晴
ゼロからの出発――新陳代謝、企業家能力、文化資本	柳沼寿
震災復興と電力事業の今後について	山内弘隆
外貨建て国債の発行による復興資金の調達	黒沢義孝
Sudden StopではなくGoing Concernを ――今こそ、名目GDP連動国債を発行するとき	竹田陽介・矢嶋康次・打田委千弘
震災リスクにどう対応するか――市場機構の再構築とその留意点	安藤浩一
資本市場を通じた自然災害リスクの移転について ――カタストロフィ・ボンドを中心に	小田圭一郎
復興に向けて求められる情報基盤	野村浩二
「日本リスク」克服のために	中村純一
復興対策と統計の役割	乾友彦
情報発信の明確化と説明責任強化に向けた会計専門職の活用を	八田進二
市場メカニズムを通じた、被災地の困難と復興コストの共有	山崎福寿

第III部　復興と日本社会
新国土計画を――社会的共通資本の視点から	薄井充裕
「日本再生」から「日本復興」へ――教訓を生かした復興の青写真を	浅子和美
関東大震災との比較――不安感のない社会に向けた国造りを	寺西重郎
大震災へ急がれる対応	堀内昭義
復興に民間の資金と知恵の活用を	柳川範之
「ナショナル・サステイナビリティ」の視点を新たな国家目標へ	神藤浩明
復旧を超えた創造的な復興へ	福田慎一
リスク管理の失敗と首都機能分散	貝塚啓明
多様な被災地に関係性を持ち、持続する地域へ	前田正尚
大規模から小規模、中央から地方、ハードからソフトそして外需から内需へ	関良基
日本再生に向けた価値観の転換――本当に幸福な生活を目指して	大野直志
ほどよい社会への道――モノ1/2で穏やかな満足度を追求する	岡部明子
国際的に開かれた希望ある社会に	奥野正寛