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ケインズとその時代を読む―危機の時代の経済学ブックガイド

大瀧雅之・加藤 晋[編]
2017 / 7 東京大学出版会 /3000円+税
ISBN978-4-13-043038-8

現代に勝るとも劣らない市場経済の危機の時代であったケインズの生きた時代を中心に、経済理論の古典を解説する。ケインズの主要著書、影響関係にある本17点を取り上げ、時代背景のなかで読む「積極的読書」の楽しみを伝える。読者がじかに古典に挑む契機と、経済学を学ぶ姿勢を涵養する。

序論 危機の時代を生きる 大瀧雅之
I 第一次世界大戦の帰結と全体主義勃興の危機
I-1 J.M.ケインズ『平和の経済的帰結』
―1世紀を経てなおも息づくケインズの鳴らした警鐘
神藤浩明
I-2 J.M.ケインズ『条約の改正』
―「ケインズ政治学」を想像する
宇野重規
I-3 E.H.カー『危機の二十年』
―二度の世界大戦の後、新たな国際秩序への展望を示す
本橋 篤
I-4 F.A.ハイエク『隷従への道』
―自由主義の後退が行き着く苦悩の社会像を描画
古宮正章
II 理論の展開――全体主義への対抗軸としてのリベラリズム
『一般理論』前史
II-1 T.B.ヴェブレン『企業の理論』
―企業の経済的・政治的・文化的分析を初めて包括的に提示
西島益幸
II-2 A.C.ピグー『厚生経済学』
―当時のイギリスにおける実践的経済政策の集大成
加藤 晋
II-3 L.ロビンズ『経済学の本質と意義』
―科学的分析と規範的分析の区別を論じた古典
釜賀浩平
『一般理論』と社会民主主義
II-4 J.M.ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』
―社会的正義感と緻密な論理による近代経済学の巨峰
大瀧雅之
II-5 R.F.カーン『ケインズ「一般理論」の形成過程』
―『一般理論』の考え方を理解するための必読書
随 清遠
II-6 A.P.ラーナー『調整の経済学』
―『一般理論』の本質を理解した最初の経済学者
田村正興
II-7 J.E.ミード『理性的急進主義者の経済政策』
―市場の持つ効率性と残虐性への深い認識
渡部 晶
III 1930年代の世界と日本
III-1 J.M.ケインズ『世界恐慌と英米における諸政策1931~39年の諸活動』
―世論形成に力点を置いたケインズの活動
大瀧雅之
III-2 高橋亀吉・森垣淑『昭和金融恐慌史』
―民間エコノミスト2名による昭和金融恐慌の真相究明
内山勝久
III-3 石橋湛山『石橋湛山評論集』
―日本にケインズをいち早く紹介した先覚者
薄井充裕
IV ケインズの同時代人
IV-1 J.M.ケインズ『人物評伝』
―人物評伝の達人でもあったケインズの分析力
堀内昭義
IV-2 フランク・ラムジーの1つの描像
―理論経済学者・哲学者・論理学者として
大瀧雅之
IV-3 E・H・カーのソ連史研究
―戦間期から戦後期へ
塩川伸明

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