PERSON職員紹介

「社会的価値がないプロジェクトは実行しない」。
日本政策投資銀行の全メンバーが持つ矜持と気概

旭 亮(あさひ・りょう)

2014年
農学部卒業後、日系大手証券入社。対機関投資家営業などを担当。
2018年
DBJ入行、企業ファイナンス部(現・企業投資第1部)配属。

入社から半年間で
40件以上のプロジェクトに参加

大手証券会社から転職された理由を教えてください。

証券会社には、マーケットと投資家の間に立ち、売買手数料をいただく業務があります。この業務では、証券会社は自社の資本を使いません。また、証券会社にとって他社との差別化を図ることが難しい環境となっています。私は4年半、証券会社に勤務していましたが、次第に自社の資本を使った投融資や、ファンド運営、金融商品の開発といった金融の醍醐味を感じる業務に携わりたいと思うようになり、転職を決意しました。DBJの面接では、上記のような想いを正直に話しました。当時の私には投融資の経験はほとんどなかったため、入行して配属先がM&Aファイナンスなどの応用的な投融資案件を担当する部署であると知り、とても驚きました。

具体的にはどのような業務を担当することになったのですか。

まず、海外ファンドの運営業務にアサインされました。企業の買収を計画するスポンサー(買い手)が買収資金を補うための「LBO(レバレッジド・バイアウト)」というファイナンス手法がありますが、この手法を使う海外の個別案件の審査業務や、それらLBOのローンをいくつかまとめた海外ファンドの運営業務を任せていただきました。また、国内の事業会社やプライベートエクイティ(PE)ファンドなどのスポンサーが、日本もしくは海外のM&Aを計画している場合のLBOのアレンジを担当しました。融資なのか、投資なのか、あるいはメザニンファイナンスなのか。お客様の状況やビジネス課題などを考慮しながら、最適な方法を選択することが求められます。

様々なプロジェクトに関わってきたのですか。

入行後携わったプロジェクトは、副担当として関わったものや検討を中断したものを含めると、当行入行後の最初の半年だけで40件以上。自分でも短い期間で様々な経験をさせてもらったと改めて感じました。早い段階でプロジェクトの責任者も任されるようになりました。その後、海外案件では入行当初にアサインされた海外ファンドの2号ファンドの立ち上げの責任者としての業務を任され、国内案件ではLBO案件においてファイナンス関係者の中心としての役割であるアレンジャーや、LBO案件に対する危機対応業務の主担当者としてアサインされるなど、LBOを軸として様々な案件に関わらせていただきました。

世界有数のビジネススクールで研修
海外エグゼクティブとの交流

投融資の知識は、どのようにして身につけていったのですか。

多くのプロジェクトでは、課長、プロジェクトの責任者である主担当、主担当を補佐する副担当がチームとして進めていきますので、副担当の頃は主担当や課長からOJTで学びながら、知識を吸収し経験を重ねていきました。また、人事部が様々な教育プロジェクトを用意していますので、それらも利用しています。「財務諸表の読み方」といった基礎から「M&A契約書」といった専門的な内容まで学ぶことができます。最近話題になっているテーマを取り上げた研修などもあります。研修期間や内容も多様で、新卒、中途入社関係なく、学ぶ意欲さえあれば誰でも参加できる環境が整っています。

研修で特に印象に残っているものはありますか。

若手向けの「グローバル人財育成協働プログラム」です。私は2019年5月から8月にかけて実施された回に参加しました。スイスに1週間滞在する機会もあり、とても刺激的でした。もともと海外案件や海外で仕事をすることへの意識を強く持っていました。加えて、入行後最初にアサインされたプロジェクトが海外案件だったため、海外に関わる業務への想いが以前にも増して強くなっていきました。ちょうどそのタイミングで先のようなプログラムを実施すると聞き、迷わず手を挙げました。

どのようなプログラムだったのか、詳しく教えてください。

スイス・ローザンヌに拠点を置く、IMDビジネスクール(International Institute for Management Development)が行うオープンプログラムに、DBJ向けの授業を組み合わせカスタマイズされた4ヵ月間の人財育成プログラムです。IMDのプログラムは、各国のMBAランキングで世界最高峰と称されています。特にIMDが所在するスイス・ローザンヌでの1週間では、世界各地から400人もの参加者が一同に集まり、毎日IMDの講師による講義、グループディスカッション等を行います。プログラム最大の特徴は、参加者全員と毎日フリーディスカッションする場が設けられること。ランチ、ディナータイムを使い、食事をしながら交流するのですが、参加者の多くは私たちより年上の方が大半で、その多くが企業の幹部やCEOなど、いわゆる海外のエグゼクティブ層です。ほぼ全員初対面であるため「Hello!!」の挨拶から始まります。どのような話題であれば交流を深めることができるのか。場は盛り上がるのか。自分の英語力はどこまで通じるのか。ビジネスのベテランの心をいかに開き、トークができるか。試行錯誤を繰り返した1週間でした。わずか1週間のプログラムでしたが、刺激にもなりましたし、得るものも大きかったです。

具体的に何を得たと感じていますか。

私たちが普段ビジネスで対峙している海外担当者とのコミュニケーションで、直接使えるヒントやスキルを得ました。他にも、同プログラムに参加して得たことが、「チームアップ」。DBJからは15名参加したのですが、先のプログラムの他、DBJオリジナルのプログラムもいくつかあり、近い世代の同僚たちと一緒に取り組むことで、チームとしての結束力が高まりました。実際、帰国後も参加メンバーとの交流は続いており、キャリア採用者である自身にとって貴重な人的ネットワーキングの機会にもなっています。

社会的意義、公益性を意識した
「Give & Give」のチームワーク

DBJの魅力や特徴をどのように感じていますか。

私がDBJへの転職を決めた最大の理由は、DBJで働く大学の同級生から「理念や業務内容、会社の雰囲気もよく、とても働きやすい」と聞いていたことが大きく影響しています。その働きやすさを、私自身が今まさに体感していますが、その背景には、案件への取り組み姿勢に一貫する理念があると考えています。DBJではプロジェクトを始めるにあたり、「取り組み意義」を第一に考えます。具体的には経済価値と社会価値の両方を実現することであり、言い換えれば、ビジネスとしていくら儲かるとしても、社会的価値がないと判断すれば、プロジェクトを実行することはありません。この「取り組み意義」は、DBJ全メンバーに共通するDNAであると私は感じています。利益や経済性を優先させることが一見合理的に見え、実際にそれらを追求する企業が多い中で、逆に「取り組み意義」を最優先に考慮し公益性を意識する姿勢がDBJの大きなエッジになっており、DBJがお客様から選ばれる最大の理由の一つにもなっていると思います。さらに言えば、社会的価値を意識しながら仕事を進める人に、悪い人はいないだろうと。そのような共通の矜持、DBJ全メンバーが持っている気概を、私自身も含め感じています。

そのようなメンバーが集まっていることが、会社の雰囲気にも表れているのですか。

そう感じています。実際にオフィスに足を運び、またメンバーと話をするとわかると思いますが、オフィスの雰囲気は穏やかで、感情的な言動や人間関係が原因でストレスがたまることはありません。個人の業績が重んじられ、常に周囲と比較して人物を評価する企業も少なくありませんが、DBJではチームで仕事を進めます。そのためメンバーが無駄に競い合うようなことや、足を引っ張りあうようなことはありません。むしろ逆で、困っている人がいれば助ける雰囲気もあります。DBJメンバーは、とにかく「Give & Give」の気持ちが重要だと認識しています。先の「取り組み意義」、そしてGiveの気持ちを全メンバーが共有することで、DBJならではの落ち着いた雰囲気が醸成されているのだと思っています。

具体的には、どのようなチームプレーがあるのでしょうか。

様々な形のチームプレーがあります。私を例にすれば、私は企業投資第1部のM&Aファイナンスチームに所属していますが、チーム内でも一人で案件を遂行することはなく、課長や案件の主・副担当のみならずチーム全体で論点や問題点を相談し解決し合いながら案件を進めます。企業投資第1部は他にも事業再生ファイナンスチームとメザニンファイナンスチームがありますが、これらのチーム間では綿密に情報をやりとりし知見を共有しています。さらに企業投資第1部の隣には、比較的エクイティ性の強い商品を扱う企業投資第2部、地方色の強い案件を扱う企業投資第3部があります。これら3つの部を合わせて投資本部と呼んでおり、いずれの部門も専門領域が少しずつ違いますが、その違いを生かして互いに補完し合いながら、時には膝をつきあわせて同じ案件の解決策を協議し、三位一体となって投資案件に取り組みます。より横断的なチームプレーもあります。お客様との窓口であるRM(Relationship Management)部門や、銀行間を取り持つシンジケーションの部門、海外案件では海外拠点の担当者ともタッグを組みます。これら縦横のチームが情報を交換・共有し、協力しながら仕事を進めることが当たり前にある環境です。

自分を主張する環境ではないようにも感じますが。

決してそんなことはありません。感情的にふるまい、チームの輪を崩すようなメンバーはいませんが、議論は活発です。ロジカルな意見であれば、ポジション関係なく検討されます。たとえば、入社1年目の副担当時代。半導体関係の会社の案件で、バリュエーションを算定する業務を任されました。プロジェクトを進める中で算定された数字に基づいた提言をすると、その都度会議のアジェンダや方向性は、ロジカルな意見が受け入れられる形で進んできました。

DBJだからこそできる挑戦

最後に、自身の今後の目標、展望について教えてください。

一つは、近い将来の目標として、海外経験をより多く積みたいと考えています。今でも海外ファンドの担当として海外出張に行く機会もあり、また現地の担当者と定期的にコミュニケーションを取っていますが、IMDの経験を踏まえ、もっとどっぷりと海外の現場にいないと、本当の意味で力がつかないのではないかと考えるようになってきたからです。数年という単位で現地に赴任するような、プロジェクトならびにポジションに就きたいと考えています。もう一つは、新規事業の創出です。業務を通じて積みあげた金融知識と前職の証券会社時代に培った経験、更に海外の先進的な知見を加え、これまで誰もやったことのないようなサービスを提供したいと考えています。DBJは新しい挑戦を評価し実現できる素地があり、実際にまったく新しいプロジェクトの提案が採用され推進している同僚もいます。常にチャレンジしていくことで、自身の成長を加速させていきたいと思っています。

DBJへの転職を考えている方へのメッセージ

私のように、いわゆるアソシエイト・副調査役の年次での転職や、少し違う職種からの転職は特に不安が大きいと思います。私も実際そうでしたが、転職前の不安は杞憂となりました。なぜなら、DBJにはそういった人が業務内容にスムーズにキャッチアップするための教育の文化があり、案件の遂行においては個の力を発揮しながらもチームで支える風土があり、さらにキャリアを広げる様々な業務や新規事業に挑戦できる素地があり、そして何よりもキャリア採用者でも分け隔てなく受け入れてくれる行員の雰囲気があったからです。多様性を尊重し、協働して、お互いを高め合う − DBJの行動基準の一つである「個の挑戦と協働」がまさに体現されていると実感します。私のメッセージが、転職を考えている方にとって一歩踏み出すことの一助になれば幸いです。

PAGE TOP