PERSON職員紹介

未来を見据え「他の金融機関がやっていないことをやる」
日本政策投資銀行の「挑戦する精神」の継承へ

島崎 可奈子(しまざき・かなこ)

2013年
商学部卒。大手邦銀入行。法人営業、国際業務、不動産ファイナンス業務に従事。
2020年
DBJ入行、企業金融第5部配属。
   

金融に構造変化が起きていた
次へと踏み出す時が来ていた

これまでのキャリアをお聞かせください。

DBJに転職する前は大手邦銀に約7年間勤務していました。大学で金融を学んでいた私が最初の就職先に大手邦銀を選んだのは、顧客企業に近い立場で成長をサポートできればと考えたため。大学の身近な先輩たちが就職していたことも理由でした。

前職ではまず法人営業部門の担当者として融資の経験を積んだ後、国際業務部門においてアドバイザリー業務に従事しました。3部署目は不動産ファイナンスの部署に配属されましたが、その中で触れたストラクチャードファイナンスの世界が非常に面白く、さらに深い関わり方をしたいと考えるようになりました。

DBJを意識し始めたのはその頃です。DBJは不動産分野でも存在感が大きく、不動産ファイナンスの業務に携わる中でDBJの名前を目にすることが増えていました。そしてある時、大学の部活の先輩でDBJで働いている方とお話しする機会を得たのですが、同じ「銀行」でありながら、前職とDBJでは業務内容やリスクテイクの仕方に違いがあることに気づかされました。DBJでは、融資に限らず、エクイティやメザニンローンを出していて、また、職員が顧客先に出向するなどして案件に深く入り込んでいるということも印象的でした。このように、大手邦銀とは違う案件との関わり方ができるのではないかと思ったことが転職の動機となりました。ちょうど、マイナス金利の導入により融資から得られる収益が低下するなど、金融の構造的な変化が起きている中、必要なリスクを取って新たな挑戦をしていかなければいけないという認識があり、長期的な観点でリスクマネー供給を行っているDBJに惹かれたのです。実際に入行してみると、リスクの取り方にも様々な種類があり、前職では経験できなかったような案件が非常に多いと感じています。

具体的に、どのような案件に携わっているのですか。

エネルギーセクターを担当する部署で、発電所建設に対するプロジェクトファイナンスの組成・管理に携わっています。具体的には、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、火力発電など、様々なフェーズにある案件を約15件受け持っています。プロジェクトファイナンスも私が興味を持っていたストラクチャードファイナンスの一種ですが、発電所の建設というのはスケールが大きく、総事業費が2,000億円程度になる案件も珍しくありません。以前手がけていた不動産案件よりも桁が一つ大きい規模で、巨額にのぼる事業資金を複数の出資者やレンダーで提供していく形になります。

例えば、アメリカの発電所プロジェクトにDBJが出資をしている案件も担当しています。前職で融資をしていた時は、レンダーとして貸付金と利息を回収できればよいという考え方をしていましたが、出資の場合はスポンサーとして資金を出し、株主の立場となっていますので、発電所が生み出すキャッシュフローやバリューを上げるためのプロセス等にも積極的に関与していくことが求められます。

変革激しいエネルギーセクターで
他に先鞭をつけていく

案件に深く入り込んでいるのですね。

はい。機器の改良を実施する判断に関わることもありますし、工事請負業者との交渉条件を検討するケースもあります。発電所の建設工事が遅れている場合には、稼働年度がずれて収入減となるリスクが生じてきますので、お客様である発電事業者の立場に立って工事請負業者との交渉条件を検討・確認していくのです。現職ではこのようにお客様により近いポジションで判断を求められる場面が多く、発電所をどうマネージしていくか、掘り下げて思考するようになりました。もちろん初めのうちは、どのように判断してよいのか分かりかねることもあり、過去の事例を参考に共に働く先輩や上司の助言を受けながら判断基準を学んできました。

担当セクターで新たな動きは起きていますか。

直近の動きで言えば、2020年に国内の電力システム改革の一環として容量市場が新設されました。ご存知の通り昨今は、カーボンニュートラルを目指す国の政策の下、再生可能エネルギーの導入が進んでいます。ところが、再エネ導入の拡大には電力供給の安定性という課題があります。この課題への対応策として新設されたのが、将来の供給力を取引する容量市場です。売り手となるのは主に火力などの発電事業者であり、私が担当している発電所でもオークションへの参画を目指すことになりました。市場に参加するには既にクローズしていたファイナンスのスキーム変更が必要で、それに関わるレンダーは約20行、出資者も複数社。関係者の数が非常に多く合意形成には苦慮しましたが、無事にスキーム変更をまとめあげ、オークションに参加できた際にはお客様より感謝の言葉をいただくことができました。このような大きなプロジェクトに対して自分が何らかの形で貢献できるというのはやりがいがあります。

DBJで働いていると、他に先駆けた取り組みをする機会が多いのですね。

その通りです。私たちの部署では、海外の洋上風力発電などに対してもいち早く投融資を始めています。また、DBJが参画しているアメリカの発電所案件では、電力市場動向により発電所の収益が変動する、マーチャント型と呼ばれる新しいビジネスモデルが採用されています。このように、他の銀行がまだ取り組んでいないような案件に数多く携わることができています。エネルギーは変革の激しい分野で、投融資の対象も新しいものが次々に出てきますし、それに合わせたファイナンススキームを組成する必要があります。常日頃からのキャッチアップが不可欠なため、国内外の情報を意識的に収集するようにもなりました。

本質部分に時間と力を注ぎ込み
「働く」を「愉しむ」ことを知る

民間の金融機関との違いをどこに感じていますか。

やはりエクイティを出し、長期的な観点でお客様の成長戦略に伴走していけるところが大きな違いですね。それゆえにお客様からは、単なる資金調達先でなく、「未来をともに創るパートナー」という風に認識していただけていると感じます。例えば今、火力発電をなさる企業では、CO2排出量を大幅に削減できる新たな技術導入の動きが活発化しています。水素混焼・アンモニア混焼の技術です。現在はまだ実証実験が始まったばかりの段階で、金融としての対応実績もありませんが、「これからどうしていけばいいか一緒に考えてほしい」という相談が多く寄せられています。「DBJなら何かしてくれるに違いない」という信頼があるのです。実用化までには10年前後の長い歳月を要する話。私としても長期的な視点を持って、そこを支えていなかければいけないという自覚があります。

業務上の体制などで「DBJならでは」と思うことはありますか。

金融業界では稀有な例だと思うのですが、DBJは職員個人の数値目標を敢えて設定していないのです。これも目先の利益にとらわれず、お客様の長期的な発展に貢献していくという価値観の表れでしょう。また、DBJは社会的意義のある案件にこだわりや気概を持って挑んでいる人の集団であり、職員がラクな方向に流されないことも数値目標を必要としない理由なのかもしれません。

また、DBJは法人向けの投融資業務が中心なので、ファイナンスのスキーム構築に集中でき、案件の本質的な部分に時間と力を注ぐことができます。

そのため、DBJでの仕事は非常に充実していると感じていますし、周囲の人たちからもよく言われているのです、「仕事が楽しそうだね」と。

入行前に抱いていたイメージとギャップなどはないですか。

一人ひとりに与えられる裁量の大きさは想像以上のもので、良い意味でギャップがありました。確かな情報や知識に裏付けられた意見であれば上司はしっかり耳を傾けてくれますし、内容が納得できるものならば個々人の意思を尊重し挑戦させてもらえます。「入行何年目であるか」は気にされません。以前勤務していた銀行よりも職員数が少ないせいか、役席者との距離も近いですね。部長と直接話す機会も以前より遥かに多く、極めてフラットな組織です。

少数精鋭の組織で働く上でキーになることは何でしょう。

部内の人員が限られている分、他部署との緊密な連携が必要になります。私の関与している案件であれば、ストラクチャードファイナンス部や審査部、契約まわりを担当する法務部等と常に連携し、協働しながら案件を進めています。その際、コミュニケーションの頻度や質を高めることが非常に重要です。

日常的に質の高いコミュニケーションを重ねていくことで、リレーションもおのずと構築されますし、周囲から応援してもらえる体制ができ、仕事がさらにスムーズに運ぶようになるのです。

また、お互いに協働することの必要性・重要性を皆が意識しているので、「何かあったら言ってほしい」といつも声を掛けてもらえます。このような、他者の取り組みに協力を惜しまないカルチャーも心強いところです。

自由度高いワークスタイル
第一線で輝くロールモデル

人材育成の取組みはどのようなものですか。

様々な知識を身に付ける研修プログラムが整っていて、興味があれば自由に参加することができます。研修制度はとても充実していると思います。

特に、通常では経験できないプログラムだと感じているのは、オックスフォード大学と提携したグローバル人材育成協働プログラムです。こちらは通常は若手職員向けに開講されているものですが、2020年度は、キャリア採用メンバーを対象とする形で実施されました。オックスフォード大学の先生から組織論・経営論の講義を受けるとともに、キャリア採用のメンバーが互いの見解を語り合い、議論を深めるプログラムとなっていました。コロナ禍ということでオンライン形式での実施でしたが、約3か月間にわたり毎週1回、講義やディスカッションが進められました。個人的には、ちょうどチームをマネジメントしていく視点が必要になっていた時期でもあり、「組織の成果をどのように最大化していくか」「自分はそれにどう関わって周りを巻き込んでいくべきなのか」といったことを考えていくタイムリーな内容で、貴重な時間となりました。さらに、ディスカッションを通じて自分自身の考えを言葉にする習慣がついたこと、自分とは異なるバックグラウンドを持った同僚の考えを聞けたことなど、多くの収穫がありました。プログラムの最後には、DBJの業務に関する改善提案を役員向けに発表する場が設けられており、私たちのグループの提案を「実際に検討する」という言葉もいただけました。

職場環境や働き方に関してはいかがでしょうか。

働き方に関しても、個人に裁量が与えられていて自由度が高いです。例えば、私の場合は海外とのオンライン会議が頻繁にあるため、早朝に会議がある時は自宅で参加した後に出社する。深夜に会議がある時も自宅でミーティングに参加をし、翌朝の出社時間を遅らせるというように、業務状況に応じた柔軟な働き方をしてきました。また、コロナ禍においては在宅勤務もいっそう柔軟化されており、私も週に数回利用している状況です。

一方、女性の立場として見た場合にもDBJは働きやすい職場だと感じています。配属された部署の部長が女性だったことからも、性別に関わらず活躍できる銀行だと分かりましたし、悩みや困ったことがあれば相談できる環境があります。周囲には子どもを持ちながら第一線で活躍している女性総合職の先輩方もいらっしゃるので、そういった方たちをロールモデルにしていきたいと考えています。

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