企業の防災への取組みに関する特別調査を実施事業継続計画(BCP)策定企業は9.0%(前回(平成19年9月)調査時8.0%)、策定中企業は20%

1.日本政策投資銀行は、企業の防災への取組みに関する特別調査を取りまとめました。地震をはじめとする自然災害への備えが注目を集める中、本調査は全国の資本金10億円以上の大企業1,461社、中堅企業3,403社から回答を得ました。

2.本調査の主な結果は次の通りです。
 (1)事業継続計画(以下、BCP)を策定している企業は9.0%に とどまるほか、大規模災害に対する財務的な手当ては、物的損害に限っても大企業で6割以上、中堅企業で7割以上の企業で不十分となっています。

 (2)業種別では、大企業では総じて石油、電力・ガス、建設業のBCP策定割合が高くなっています。中堅企業では、運輸、電力・ガス業で割合が高くなっています。
地域別では、BCPを含む何らかの防災計画がある企業の割合は、大企業では首都圏で高くなっていますが、過去に大地震の経験が少ない地域では特にBCPや防災計画がない企業の割合が高いところもみられます。

 (3)前回、前々回調査との比較では、BCPの策定率はほぼ横這いとなっていますが、製造業でやや増加傾向がみられます。何らかの防災計画を策定した企業の割合が、今回は、製造業では9%減少していますが、一方で事業継続計画に着手している企業が製造業で7%増加しており、防災計画から事業継続への取組みの進展が若干みられています。財務手当については、操業・復旧資金までの備えを行う企業、検討中の企業はほぼ横這いとなっています。

3 .近年の地震や風水害では、直接被害に加え、生産の停滞によりサプライチェーンにわたる間接的、経済的な被害が改めて認識されました。こうした中、政府 中央防災会議(会長 福田総理大臣)では、平成17年8月に「事業継続(BC)ガイドライン」、10月に「『防災に対する企業の取組み』自己評価項目表」を策定・公表し、企業の防災への取組み高度化を促す方向を打ち出しています。
 本調査結果は、事業継続へ向けた対応は改善の余地が依然大きいことを示しています。人や物への影響を抑える観点から行われてきた従来からの防災対策にとどまらず、売上の毀損やブランドの失墜を防止するための事業継続の取組みは、ビジネスにおける企業評価の対象としても重要性を増してきており、今次調査により取り組んでいる企業が増加した従来からの防災対策をさらに発展させ、重要業務の継続を目的とした事業継続対策へと深化させることが期待されます。


報告書全文はこちらをご覧ください。
DBJ News一覧へ戻る